隠居の独り言(488)

バレンタインデーに因んでヨーロッパの大人の恋の物語を二つ三つしてみたい。
「愛せよ、人生において良いものは、それのみである」byジョルジュ・サンド
19世紀に活躍したフランスの女流作家ジョルジュ・サンドは恋の遍歴の盛んな
女性で多数の男性と恋愛関係を持ったが最も有名なのはピアノの詩人といわれた
フレデリック・ショパンとは10年間の同棲生活を送り、ショパンもその期間は
マジョルカ島の逃避行などの充実した日々の中で素晴らしい作品を残している。
フランスのサルコジ大統領は昨秋にセシリア前夫人と離婚をして、人気歌手の
カーラ・ブルーニと結婚したが、セシリア前夫人はせっかく夫が大統領という
最高の座に就いてファーストレディーになったのに「自由」を求めて彼の許を
去っていくなんて恋愛至上もここまでくると立派といえる。日本人の女性達の
感覚では理解を超えたフランス人ならではのおおらかな国民感情なのだろう。
カーラ・ブルーニもイタリアの豊かな家系に生まれ芸能界で成功し恋の遍歴も
多いらしいが最高権力者に言い寄られれば「ノン」と言えなかったのも頷ける。
これがフランス人気質なのか、ラテン系の開放的な性の奔放さなのか、しかし
イギリス王室だってチャールズ皇太子カミラ・パーカー・ボウルズと交際が
あったのにダイアナとの結婚後も不倫が続いたがダイアナの不慮の死の後には
公然とカミラと付き合い正式に結婚している。これが成熟した大人の恋なのか。
欧米人のバイタリティの基はこの辺りなのか。淡白な日本人では考えられない。
かつて日本の某総理はつまらぬ女性スキャンダルでその権力の座を追われたが、
昔の封建時代の権力者ならいざしらず国の象徴的な人物の私生活はある程度の
節度と清潔さが求められるのにサルコジ大統領は堂々とデートをしているから
逆にさすがと思ってしまう。恋の道も人種によって仕方も考え方も随分違う。