隠居の独り言(514)

日本史の中で幕末ほど分かりにくい時期は無かったといって過言ではないと思う。
ペリーの来日で国中の議論が沸騰し、開国をしなければ日本が滅ぶと危惧をした
開国派と、あくまで外国と戦うべしと威勢のよかった攘夷派に大きく二分され、
そのうえ天皇を奉る尊王派と幕府を守る佐幕派が入れ乱れて血を血で洗う内戦が
各地で起きていた。尊王攘夷の親玉は水戸藩徳川斉昭江守徹)で純粋に国を
守る意思と徹底した鎖国・攘夷を主張するが、開国派の井伊直弼中村梅雀)と
将軍後継問題も含めて二人は二重の意味でも不倶戴天の敵同士であったといえる。
NHK大河ドラマ篤姫」で、着いた三田薩摩藩上屋敷邸は現在の芝公園の辺りで
東京タワーも一部含まれる。物語は篤姫宮崎あおい)にとって義母となった英姫
余貴美子)と初対面しても御簾の向こう側に居て儀礼的に終始して言葉もろくに
掛けてくれないし、藩邸に住む義兄弟も頑是無く親しみも湧かないのは仕方ない。
そんな姫に追い討ちを掛けるような悲報がもたらされる。斉彬(高橋英樹)から
父・忠剛(長塚京三)の死を伝えられるが姫は脇息に伏し我を忘れて泣き崩れる。
一方嫁ぐべき相手の家祥(堺雅人)は朝廷より将軍宣下を受け、名を家定と改めて
第13代将軍となった。しかし家定は生まれつきから精神的能力が著しく欠如して
家臣の前でも長時間の正座もままならず、挙句は趣味の菓子作りには夢中で周囲を
嘆かせていた。以前にも正室はいたが懐妊することも無く、そのうえ病没しており
継承問題が急がれていた。