隠居の独り言(523)

いよいよ明日は長野に聖火がやってくる。世界各国でこれほど騒がれ、これほど
虚しい聖火リレーは、かつて無かったのではないか。当日は在日留学生や華僑の
漢民族、そしてチベット族達が大勢終結して互いに抗議行動を起こすとの事だが
ここは信州長野の普段は静かな町なので、関係者は少し冷静になってもらいたい。
予定されているランナーも発表されたのは星野仙一だけで何とも奇妙な感じだし
NHKも危険を感じたのか青山祐子アナを降板させ男性アナが代走するとかだが
いっそうの事みんな走るのを辞退したらいい。チベット、施設、公害、渋滞等の
難問を抱えた北京五輪は前途多難だが、中国の国民にとってもこれからが多くの
外国人との接触や互い文化への理解を深める絶好の大きなチャンスのはずなのに
自らがその芽を摘もうとしているようにしか映らない。偏狭なナショナリズム
仏資本のカルフールには嫌がらせをし、話し相手のダライ・ラマとも会わない。
欧米諸国の過去の植民地時代は他民族を迫害し勝手に領土を広げた現世界地図は
それの集大成だが今は時代が違う。いまさら中国が真似をしても世界が許さない。
思い起こせば昭和39年開催された東京オリンピックは大成功だった。天気までが
祝福してくれ開会式の日は快晴で聖火台の火は青空に白く映え、澄んだ大空には
五輪の飛行機雲が関東一帯の遠くから眺められた。戦後が終わりを告げ日本人が
失いかけた誇りを復活して国際感覚を身に付けたのはあの時だったかも知れない。
外国から選手ばかりでなく観光客やマスコミ関係の人達がどっと日本を訪れて
多くの外国人と接点を持った「開国」の東京オリンピックだった。五輪競技も
体操男子、東洋の魔女、三宅義信、アベベ、ヘーシング等々の感動の思い出は
今でも日本の宝物だ。対して北京五輪の中国政府の対応はチベット問題一つも
外国の助言に「聞く耳持たず」では成功も覚束ない。長野の無事を祈っている。