隠居の独り言(548)

日本はどこまで諸外国に舐められればいいのか。北朝鮮の核保有問題で
米国のライス長官が北朝鮮の核申告に合わせてテロ支援国家指定解除の
手続きに入ると表明したが、これは拉致問題を抱えている日本に対する
背信行為であって日米同盟関係をどう思っているのか米政府に質したい。
日本の今回の発表にも首をかしげる事があって日朝実務者協議で拉致の
再調査と、よど号犯の件が決まると、すぐに制裁緩和の話しをするのは
相手の思う壺だし、米国から見れば指定解除の条件が整ったと見ている。
北朝鮮テロ支援国家指定解除になれば、世界銀行アジア開発銀行
援助を米国の反対を受けず獲得できるし、米国側の対敵通商法の規定で
凍結されてきた北朝鮮の在米資産約3000万ドルが得られることになる。
また中国は指定解除を条件に北朝鮮沖合いでの海底油田の試掘の権利を
35億ドルで買う契約を交わしていると云うが、もしそれが実現すれば
カネが目的の日本とまじめに協議する交渉のカードが無くなり、拉致は
ますます遠く難しいものになっていく。ブッシュ大統領の任期は僅かで
在任中に北朝鮮問題を片付けておきたい気持ちだけで動くのは我が国を
無視しているとしか言いようがない。この問題がアメリカの意のままに
テロ支援国家指定解除の方向になれば日本だけが浮き上がってしまう。
ブッシュ大統領横田早紀江さんに会ったときに、拉致被害者の象徴の
ブルーリボンバッチを胸に付けたあの感動は政治的ショーだったのか。
拉致被害者増元照明氏は「米国が日本に協力せず指定を解除するなら
日米同盟より米朝関係を重視したという事、日本人を人質にした国との
交渉を優先するなら米国の言葉は何も信用できなくなる」と語ったが
ここは六カ国協議からの脱退と、日米安保の見直しを通告するくらいの
決意を持つべきだし、日本人が平和ボケ気分を覚ますいいチャンスだ。