隠居の独り言(566)

「ひび割れた世界から落とされた原爆、八月を濡らす雨があれば、それは世界を
洗う天の涙」産経新聞に掲載されている「朝の詩」からだが1945年8月6日に
広島に原爆が落とされて63年の歳月が流れた。当時の自分は小学6年で福島の
白河に疎開していたが、三陸沖に停泊する米空母から毎日のようにP51戦闘機が
関東地方を爆撃するB52爆撃機を援護するために白河上空を飛行していったが
そのつど町の人達は防空壕や森に隠れてじっと敵機の通過を待つしかなかった。
子供心にも実に惨めだった。今では毎年8月になると原爆、終戦と悲惨の記憶が
頭をよぎるが、あれから半世紀以上が経ち戦後生まれや戦争を知らない人たちが
日本人の9割以上になっても、戦後が終わらない、否終わらせようとしないのは
自虐的な日本人の特殊性なのか、それとも占領した米軍のマインドコントロール
せいなのか、8月になると新聞やTVが終戦特集を流し、これでもかこれでもかと、
戦争の悲惨さと日本の悪行ばかりを報道するが、日本の未来のためなのだろうか?
戦争はもう歴史の分野に入っているのではないか。国も人生と同じで過去の失敗を
いつまでも後悔ばかりでは心が暗くなるだけで未来の見通しが立たないばかりか
自信さえも失ってしまう。終戦の日の決まり文句は「二度と戦争はいたしません」
その理想主義で結構な言葉も国際社会は口で言うほど甘いものじゃない。それより
「二度と戦争に負けません」と、宣言したほうがよほど現実的で先の大戦で負けた
反省の言葉と思う。人類史は戦争史なのは言うまでもないが、とくに19世紀以来
戦争の規模も大きくなり世界的になっているがいつも二派に分かれて戦っている。
周知の通り日本はドイツと手を組んで、米英のアングロサクソン国家と戦争をした。
20世紀初頭の日清・日露戦争第一次世界大戦等々、日本が勝ち組になれたのは
イギリスと同盟を結び強いバックがあったからだが、それは明治人の世界観だった。
昭和の愚かな軍部は先人の苦労した知恵を忘れ米英を敵に回す愚かな戦略で奈落の
底まで堕ちたが、戦後のアメリカとの同盟関係で未曾有の経済的な発展は、やはり
手を組むのは米英のアングロサクソン国家しかない。戦争の反省とは二度と米英と
喧嘩をしない事、多少の軋轢があっても仲良くする本分を忘れてはいけないと思う。
世界は21世紀に入っても二派に分かれてもめ事を繰り返している。民主的国家と
全体主義的国家は水と油だが、今の日本の少なからず危ない部分は方向性が無く
強権国家中国といたずらに親しく接するのは長い目で見て良くないのではないか、
米英がどのような目で見ているのか気になるところだ。