隠居の独り言(582)

去っていった人に石を投げる気は無いが、福田康夫首相がどうせ辞めるのなら
与党が三分の二を持っている現状でしか出来ない法案を成し遂げてから辞意を
表明すれば歴史に残る宰相の一人になれたのに実に勿体ない。一つは憲法改正
九条の問題でなく、ねじれ国会で日本の重要な政策は遅々として進まないので
いっその事、二院制を廃止して衆議院だけにする国会のあり方を規定している
憲法を変える事で今の参議院の何でも反対は世界の変遷の早さにはそぐわない。
2年連続で首相が政権を投げ出したのも、ねじれ国会が原因で二院制のもとでは
誰が首相を務めても法律が通らない。しかも参議院民主党過半数とはいかず
たった5票の社民党のご機嫌取りの状態では国会制度のあり方が問われている。
もう一つは消費税、国家財政の赤字が続き今では900兆円の国債を抱える現状は
国家破産が目の前なのに政治家達は最後の解決策といわれている消費税の話しを
誰もしようともしない。先進諸国の中でも消費税の率は最低なのに年金や医療の
サービスは最高水準であれば、赤字財政は膨らむばかりで先はどうなるだろう。
どうせ辞めるなら消費税を15%ぐらいにして自民党と一緒に下野すれば、最初は
不人気でも、やがて国民は分かってくるはずだ。与党も野党も痛みを伴う話しを
しないのは、途中で政権を放り出した福田康夫首相だけではない。総裁候補者の
麻生太郎小池百合子与謝野馨石原伸晃石破茂、そして小沢一郎までもが
ばら色の話ばかりで現実の厳しさを語ろうとしない。大黒柱のお父さんの月給が
下がったら無駄を省き始末をして生活を切り詰めないと一家の破産は見えている。
臭いものには蓋をして良い事ばかりを公約するのは戦時の大本営発表に似ている。
自民党の総裁候補者達も民主党の党首も国を憂えるなら本当の日本の姿を正直に
語るべきだし、その上で将来の展望を訴えるのが筋ではないか。この困難な時に
首相の強いリーダーシップが求められるのに福田康夫は宰相の器が無かったのか、
与党が大多数を占めているときこそ出来る絶好のチャンスであったのに名首相の
称を逃し、いや迷首相の汚名を付けられたのは仕方ない。