隠居の独り言(592)

NHK大河ドラマ篤姫」の背景の京都の情勢は他藩浪人が多数変装して侵入し
彼らの仕業の「天誅」と称する殺傷事件が相次いで起こり対して幕府側も新撰組
会津藩始め過激派志士と血で血を洗う戦いが行なわれていた。「池田屋事件」から
禁門の変」と幕末の動乱のクライマックスで日本の各地も大いに揺れていた。
過激な攘夷論で京都を追われていた長州藩が藩主の冤罪を帝に訴えると称して
挙兵し、強硬派の久坂玄瑞を筆頭に伏見長州屋敷に兵を集めて陣営を構える。
この不穏な動きを察知して、薩摩藩土佐藩久留米藩らは協議して長州兵の
入京を阻止せんとの連署の意見書を朝廷に建白した。朝廷では長州藩の駆逐を
求めて禁裏守衛総督を勤める一橋慶喜平岳大)は退兵を呼びかけるが焦った
長州藩はあくまで兵力で訴えようとし守る会津藩を圧倒し勢いに乗じて御所の
蛤御門付近を占領してしまう。島流しから帰ったばかりの西郷(小澤征悦)が
率いる薩摩軍は、すぐさま応援に向かい大砲の砲門を開かせて長州藩から奪回に
成功するのが、いわゆる禁門の変だが、その影響で京都の市中は大火事になり
ために長州藩京都市民の恨みを買うことになってしまう。私事だが先だって
京都御所を散策した時、門には当時の弾痕が今も残り戦争の激しさを偲ばせる。
一方、帯刀(瑛太)は京都在住が多いため世話をする女性に巡りあう事になる。
芸技、学問、和歌の道にも秀いでた祇園の名妓と謳われた琴仙子(原田夏希)で
帯刀が京都から鹿児島へ帰る時、琴仙子へ贈った歌、またその返歌が今も残る。
鳴き渡る雁の涙も別れ路の袂にかかる心地こそすれ・・小松帯刀
うちいづる今日の名残り思いつつ薩摩の海も浅しとやせん・・琴仙子
帯刀はじめ志士達と遊女のロマンスは生死を賭けた美しいエピソードで有名だが
坂本竜馬玉木宏)=お竜、桂小五郎=幾松、伊藤博文=小梅、山県有朋=小蘭
陸奥宗光=小鈴、近藤勇=深雪など情感深い話の数々は今も人々の心をえぐる。
この時期、帯刀と竜馬は不思議な縁で結ばれる。同年生まれでもあった二人は
京都の小松家での薩長連合実現や、幕府の大政奉還に奔走したのも二人だった。
かたや大奥では滝山(稲森いずみ)が将軍家茂(松田翔太)に側室を持たせてはと
天璋院宮崎あおい)に進言する。早く世継ぎを儲けて徳川家の安泰を図りたいの
一心で、和宮堀北真希)と家茂の仲むつまじい夫婦に水をさしたくない天璋院は、
これに強く反対するが果たして・・