隠居の独り言(595)

ＴＶ視聴率の調査によればＮＨＫ大河ドラマ「篤姫」は連続トップを維持して
評判は抜群らしい。幕末を舞台とした歴史小説は数々あっても江戸城の大奥の
立場から眺めた作品は、そう多くはない。しかも映画や芝居に描かれる大奥は
女の城の偏狭な部分を誇張したのが多く今回のような美しさを求めたドラマは
大河特有の戦闘場面も少なく、女性の憧れの衣装や背景がもてはやされている。
前回の蛤御門の戦いで敗走した長州藩は、あたかも戦国時代の毛利家に戻って
長門地方に割拠の姿勢をとり表面的には幕府に慇懃恭順の体を見せつつ藩内は
戦備を急いでいるのが明らかになる。これを討つ以外に幕府の威信を保つのは
不可能だが幕府には軍費は無く、諸藩も物入りな時期に無用な戦争など迷惑な
話しで幕府の動員令には冷淡そのものだった。そこで将軍家茂（松田翔太）が
親征すれば諸大名も付かざるをえないということで入洛して、その後大阪城に
入り長州征伐の大本営とした。でも発軍は呼応すれど動かず、やっと先鋒軍が
西下をしたが長州軍の意気が盛んで幕軍は各地で敗北を重ねて征伐は失敗する。
ドラマは将軍上洛のため家茂を勇んで送りだす天璋院（宮崎あおい）に対して
ただ無事だけを願う妻の和宮（堀北真希）の心の溝は埋まらない。そんな折に
生母の観行院（若村麻由美）が亡くなり和宮は心の支えを失ってしまう。
かたや薩摩では小松帯刀（瑛太）が坂本龍馬（玉木宏）と共に反目しあってきた
薩摩と長州が手を結ばせて幕政改革を行うことを構想する話し合いに入っている。
こうして帯刀の尽力により薩摩のかつての宿敵・長州との関係が深まっていった。
京都在住の帯刀は、芸妓の琴仙子（原田夏希）との出会いもこの年であった。