隠居の独り言(616)

最近のスポーツ欄でゴルフの話題といえば、弱冠17歳の石川遼に尽きるが
政治経済の閉塞感の中で爽やかなティーンエジャーのスポーツ選手の活躍が
なにより気持ちを明るくしてくれる。女子フィギュアーの浅田真央18歳、
男子テニスの錦織圭18歳等々、まだ高校生の若さで頂点に登りつめている。
天才といえばそれまでだが、それぞれが育った環境が良く、そのうえ美形で
格好の良さも抜群だし、天は二物を与えず、との格言も彼らには通用しない。
栄光の若者たちとは対照的に今年の卒業生の就職戦線は世界規模の不景気を
反映し厳冬期最中とかだが、なかには内定も取り消された事例もあるという。
二極分化、格差社会は若者を蝕み早大生を含む大麻事件も社会と無関係とは
いえない背景がある気がしてならない。メディアもひと握りのスターだけに
照明を当てずに若者が抱える問題や悩みにもっと時間と紙面を割いて欲しい。


ティーンエジャーといえば元厚生次官ら連続殺傷事件の容疑者は17-18歳の頃
皆が羨むほどの進学校から国立大学に進み理数系が得意で将棋が大好きだった。
ご両親も彼に期待しただろうし順調な人生のスタートのはずだった。まともに
大学を卒業していれば、就職も結婚もその後の人生は順風満帆のはずだった。
誰にも訪れる希望と挫折は、あざなえる縄の如しだが、小学生の頃に野良犬を
拾って可愛がるほどの優しかった彼が人生をどこで間違えたのか。35年も前の
「犬の処分」に対する恨みが、それほど長く続く人間の性格があるのだろうか。
彼が借金の生活苦に行き詰まり「もう人生に未練が無くなった」というのなら
ひとりで命を絶てばいいのにどうして人を巻き添えにする心もまた分からない。
誰でも人生に適応し、生活に適応して生きている。10代後半の失敗や挫折は
取り返す事も出来たのに彼はプラスに適応出来なかったのだろう。彼の経歴を
知るにつけ近所にも隣にもいるような人たちの中にまだ悪魔が潜んでいるのか、
秋葉原の7人を無差別に殺した事件にせよ、人の心とは謎に満ちている。