隠居の独り言(624)

年末恒例のNHK紅白歌合戦の思い出は父母が生きていた頃に、帰郷して
親や兄弟たちと居間で寛ぎながらTVからの歌と画像を楽しんだものだが
最近の大晦日の我が家は大勢の孫たちの喧騒でとても観られる環境でない。
それにしてもこのほど発表された歌手の一覧表を見ても年が経るとともに
知らない歌手名が多くなったことよ!そしてその歌手たちが何を歌うのか、
さっぱり分からない。歌は世につれ世は歌につれの言葉も虚ろに思うのは
我老いたりの感じで実に情けない。初出場とかの秋元順子いきものがかり
GIRL NEXT DOORキマグレン木山裕策東方神起などと名前は載っても
TVで見たことも聞いた事も無い。晩食の時間に前川清の「ふるさと劇場」や
氷川きよし「きよしのこの夜」を観ているのである程度の演歌歌手が分かるが
今の流行の歌手や曲に付いていけないのは、それだけ古くなった証なのだろう。
昭和の頃の紅白はその年に流行った曲目を歌っていたが、いい歌が多かった。
述懐するのは歌詞もメロデーも胸を打ったし歌手もそれなりに素晴らしかった。
藤山一郎三波春夫美空ひばり淡谷のり子などの歌声はもう不世出だろう。
先日は作曲家の遠藤実が世を去ったが服部良一古賀政男吉田正市川昭介
浜口庫之助など、各々のメロデーを持った巨匠達が次々と亡くなっていくのは
音楽ばかりでなく蓄積された日本の文化までも失われていく気がしてならない。
常連の石川さゆり小林幸子和田アキ子五木ひろし北島三郎、森進一等は
今年のヒットが無くても今までの実績で出ている感じだが、心に沁みる情感ある
謡曲の詞とメロデーは時代の経過とともに、もはや尽きてしまったのだろうか。
ところで司会者が今年の「篤姫」の宮崎あおいでなくて、一昨年の「千代」の
仲間由紀恵とはどういうわけか、私見では夫婦役だった堺雅人宮崎あおい
組み合わせに期待していたのに残念だ。紅白歌合戦とはその年の総決算だから
NHKとしてあれだけ高い視聴率に貢献した「篤姫一家」が司会しないなんて
実に勿体ないと思うのは自分だけなのだろうか。