隠居の独り言(627)

元来、子孫が先祖に対して責任を持つ必要は一切無いと思う。僅か100年も
遡ればその間に血縁者は何百人になるか計算もした事も無いが、その無数の
先祖が行なった戦争、侵略などの罪をいつまでも子孫が被るのは無いはずだ。
「日本は侵略国家であったのか」と題する論文を発表したために更迭された
田母神前航空自衛隊幕僚長は1948年生まれで、今年60歳の戦後生まれだが
実際の戦争体験者の隊員が既に居なくなっている事に少し危惧の念を覚える。
もちろん戦争は無いに越したことはないが戦闘行為は精神面で気迫の強弱が
勝負を決するのが多く演習は絶え間なく行なわれていると思うが今の隊員に
いざ鎌倉の時は国家に命を捧げる勇気があるのか疑問が多いと感じている。
最近の景気の悪さからか若者の入隊希望者は狭き門と聞くが、何年か前まで
入隊する若者がいなくて募集には苦労があったと聞く。給与面とか待遇面を
期待して入ってくる若者に国の防衛に対しての責任を任せられるだろうか。
防衛とは身体を張って国を守ることで一身を賭す覚悟がなければならない。
先月に某テレビ局が放送で田母神問題を取り上げられたが放送中に視聴者の
意見を集中したところ、田母神支持が61%、不支持が31%と出たとかだが
政府やメディアから厳しい批判を受けても国民の心情面に訴えかける何かが
あったのだろう「日本だけが侵略国家だったわけではない」との彼の主張は
ある程度正しいと思う。16-20世紀にかけ東南アジアの殆どを植民地化した
欧米諸国は侵略国家と言わないで何と言うのか?戦後の日本は謝罪と弁償の
繰り返しだがアジアの諸国を食い物にして悪辣な搾取をし続けた欧米諸国は
アジア人民に対し謝罪の一言でも言った事はあるだろうか。田母神幕僚長が
懸賞論文を書いても静観するくらいの日本政府の度量の広さが欲しかったし
その時こそ諸外国と対等に話しの出来るチャンスだったのに惜しい事をした。
彼の論文問題は発生から2ヶ月も経つのに収まりそうにないのは言論の自由
文民統制歴史認識、自虐教育、防衛問題、公務員制度、等々と問題提起が
多岐に亘っているからで、これほど世論を喚起した政治論は最近に無かった。
田母神氏を誹謗する人が多いが日本を考えるきっかけになればいいのでは・・