隠居の独り言(635)

近くの公園で小学校高学年とおぼしき子供数人が群れて携帯電話で遊んでいる。
最近はどこでも見かける風景だが、何のために公園に来ているのか分からない。
公園は身体を動かす場所であるし、草花や木々に自然を感じる場所であるのに
彼らは小さい携帯画面から目を逸らさないのは既に依存症になっているのか。
成長期に携帯やTVゲームなどを持たせる親も親だが、現代の風潮は哀れとも
情けないと言いようがないのは小学生の30%、中学生の60%、高校生80%が
持っているという子供の携帯所持率はいかに時代が変わったといってもこれで
いいのか疑問に思えるのは古い考えなのだろうか。報道によれば小中学生の
携帯のメールの交換でのイジメが激増しているという。デメリットの理由など
今更でないが、子供たちの勉強不足、言葉の乱れ、運動の低下、そして何より
触れ合うコミュニケーションの欠如が心配だ。最近は学校への携帯持ち込みを
原則禁止にしようという動きがあってとてもいいことだと思うが、一歩進んで
小中学生は法律で携帯禁止にしたらどうだろう。もっとも大人達も大きな事は
言えないのは携帯を使った犯罪は後を絶たず、他に場所や場合もわきまえずに
始終メールを気にしてカチカチやっている姿格好は大人としてみっともない。
携帯は緊急の用事や待ち合わせ場所の変更など今や無くてはならない道具だが
その便利さを認めつつ便利のために無くしてしまった粋な言葉や文章が哀しい。
かつて駅の構内には連絡板があって様々な待ち合わせの伝言が書かれてあったが、
その文には各々の、すれ違いや、偶然の出来事、微妙な人生のドラマがあった。
映画「君の名は」の数寄屋橋の真知子と春樹も携帯があったら物語が無かったし
カサブランカ」「逢引き」などの名画も赤い糸の出会いが心に感動を与えた。
現代の文明は知らず知らずのうちに人の情感さえ失われていくのではないか・・
心を機械に支配されては人間としての価値や尊厳を問われることになる。