隠居の独り言(642)

応仁の乱終結して群雄割拠した戦国時代の中頃で抜きんでて強かったのは
東は武田・上杉・北條・今川・最上、西は島津・毛利・長宗我部あたりだが
最後には織田信長(吉川晃司)が天下統一の目前にまで迫る。信長は尾張
小大名の息子だが彼ら大名達とどこが違うのだろうか。封建時代の大名達は
鎌倉期の一所懸命の精神で生まれた土地に執着し戦いに勝っても自城に戻り
農耕に励む所詮は田舎大名に過ぎなかった。信長の考えた全国制覇の遂行は
今でいえば本店を東京に持とうと所を変えていく。尾張→岐阜→安土を経て
最終は海外と貿易を営む堺の近くの大阪を目指す壮大な野望を描いていた。
戦国最強の軍団と優れた戦術を持ち合わせた謙信(阿部寛)に天下統一への
戦略があったなら武田や北條にエネルギーを費やさないで一気に京へ上れば
歴史の方向が大きく変わっただろう。諸大名と信長との違いは非常に優れた
管理能力で織田軍団を作り上げたことで古い体制の豪族の親分でなかった。
出自は問わず藤吉郎や明智光秀の才能ある者は軍団長にまでに取り上げたし
家臣たちは城を持たされても石高よりも階級が重んじられ信長の意思のまま
手足のように動いた行動が織田軍団の強さの秘密といえる。彼に反する者は
絶対に許されず宗教から民間人に至るまで徹底的に殺戮の限りを尽くした。
NHK大河ドラマ天地人」は初音(長澤まさみ)の手助けで信長に会えた兼続
妻夫木聡)は義侠心を訴えるが逆に秀吉(笹野高史)に彼を殺すよう命令する。
その兼続の危機を救ったのは佐吉(小栗旬)後の石田三成で、これがきっかけで
彼我に友情が芽生え、その後の兼続の人生に大きく関りあうことになっていく。
年変わり長篠の戦で武田を破った信長は越後に圧力を加えてくる。一方、景勝は
北村一輝)は、景虎玉山鉄二)とともに謙信に義の精神を貫く事を進言し、
ようやく謙信は腰を上げる。