隠居の独り言(649)

中川昭一財務相のG7会場の映像は誰が見ても酩酊状態にしか映らない。
しかし連日の危機対応による疲労と風邪が重なり薬の効果も後押しして
ふらふらの状態になっていたのであれば同情するがそうではないらしい。
中川氏は風邪薬の飲み過ぎと釈明しても体調不良なら欠席するべきだし
直前の昼食会でワインを飲んだというから今更言い訳はみっともない。
酒にまつわる失敗は多くの人の経験だが、せめて体調不良なら、日本を
代表して席に座る以上は酒を断つくらいの最低限の我慢があれば防げた。
昔の人はモラルのいい加減な人間のことを「タガがゆるんだヤツ」と
表現した。戦後自民党の重鎮だった中川一郎の息子で東大法学部卒業、
日本興業銀行を務めた超エリートでも「酒の前科」は消えないらしく
次期宰相とも目された椅子もこれで取り消しになったといっていい。
自分もファンだっただけに今度の失態で政治生命まで響くとは惜しい。
「酔醒めの、ぞっとする時、世に帰り」という江戸の古川柳があるが、
まさにこの度の状態でしらふの時の凛々しさはどこにも見当たらない。
自分は下戸なので、お酒飲みの人をとやかく言う立場にまるでないが、
酒は天下の美禄、酒なくて何の己の桜かな、酒は情けの露雫・・等々
酒を賛美する言は多いが、酒は嗜むものであって、のべつまくなしでは
自堕落以外何者もない。花が咲いて呑み、散って呑み、春を愛でて呑み、
夏を嫌って呑み、出会って呑み、別れて呑み、笑って呑み、泣いて呑む。
結局は喜怒哀楽・冠婚葬祭、何でもいいのであって、とりあえず呑む・・
おまけに日本のヤオヨロズの神様は全員上戸で、お神酒あがらぬ神は無し・
お祭には酒が欠かせないし、まこと呑んべー万歳、目出度き良き国なり!
でもねぇ、中川昭一さん!年々歳々人同じからず、年々老いて年々賢し、
何もかも知り尽くした方の「年の功」はこれからなのに実に勿体ない。
ワインの一口が自民党の下野を決定的にした。