隠居の独り言(669)

最近「婚活」という流行語がある。結婚をするための活動を略して言うらしいが
中央大学教授・山田昌弘と、ジャーナリスト・白河桃子の共著「婚活時代」から
新言葉になったという。世の中変わったものだ。ひと昔前までは夫婦の出会いは
お見合いが殆どで、それも仲人さんが互いの身分や環境の釣合いを見極めるので
大抵は最初からコースが決まっているようなものだった。中には結婚式の日まで
会ったことも無いという現代なら信じられない結び付きも現実にあったという。
近所の仲人さんは世話好きで世間が広く積極的に縁組を勧めるのを生きがいに
思っておられる方が多かったし、考えようでは仲人さんに自らの人生を託せる
おおらかな時代であったといえる。夫婦としての愛情は結婚から始まって生涯を
仲良く暮らした人も多く、それはそれで良かったのではないか・・戦後になって
西洋文化の影響で恋愛の自由化に伴い男女の結びつきは、お見合いは急激に減り
恋愛結婚が大部分を占めていく。最初は男女共フィーリングの結びつきが多く、
昭和の理想の相手では男らしさの三船敏郎、女らしさの吉永小百合がもてたが、
今は優しい福山雅治堺雅人、しっかり者の仲間由紀恵ベッキーが理想とか・・
時代の変遷とともに女性の社会進出や高い収入によって結婚観も様変わりして
女性の求める男性の理想の結婚相手は3Kと称する高学歴、高収入、高身長の
相手の資産、育ちのブランド、見た目の格好良さ、愛情よりも生活安定を優先し、
それらの好条件を模索するようになればなるほど伴侶探しも難しくなっていく・・
恋とは燃えるような情熱があって結ばれるのが通例で、異性を求める情緒感が
薄くなったのもモノが豊かになったせいか、晩婚の要因は自分をさしおいて
高望みするのに尽きる。学卒後も親と同居し基礎的な生活を親に依存している
未婚者が多くなったのは、家族を愛する事の大切さ、厳しさを教えなかった
今の親の責任も大きい。「婚活」が商売になる世の中は男と女の本質が失われ、
極端に言えば人類の明日にも係わっている。