隠居の独り言(695)

NHK大河ドラマ天地人」も6月に入り前半と後半の折り返し地点に近いが
TVを見るたびに思うのは今年のキャスティングがイマイチの感じがしている。
そもそも兼続演ずる妻夫木聡は戦国乱世に生き抜いた武将とは思えない優顔で
戦国実力者の権謀術数の策略にも負けなかったという上杉の筆頭家老にしては
イメージ的には程遠い。景勝演ずる北村一輝も寡黙だった性格を強調しすぎて
武将としての貫禄不足が否めない。色白な美人といわれた、お船常盤貴子
もっと化粧してもいいのではないか。役者の年齢と役柄の年齢が合わないのは
秀吉演ずる笹野高史で、いくら猿面冠者でも吉川晃司の信長よりも年下だから
ちぐはぐな時代考証になっている。結局は景勝、兼続に合わせるために選んだ
キャスティングなのだろう。今回のドラマは戦国中期から江戸時代にかけての
半世紀以上の乱世を描いているので役柄によって老若二人が演じたほうがいい。
時代考証といえば、真田の使者として初音を演ずる長澤まさみが兼続と廊下で
密会するシーンや、幸村演ずる城田優が人質の身で自由に動き回り家老である
兼続と酒を酌み交すとは戦国時代では考えられない。前半のキャスティングで
自分が描いた歴史上のイメージに合ったのは謙信の阿部寛仙桃院高島礼子
景虎玉山鉄二、三成の小栗旬、等で武田勝頼明智光秀は想像の他だった。
ドラマは秀吉に上洛の約束をした景勝だったが突然上洛を取りやめると言い出す。
兼続の勧めで景勝は雲洞庵を訪れるが、幼かった与六(加藤清史郎)、喜平次
溝口琢矢)の頃の思い出が蘇えって二人はあらためて主従の絆を確かめ合う。
北高全祝(加藤武)は上洛を迷っている景勝に一枚の書を渡す。それは景勝が
幼い頃に書いた「第一義」の言葉であった。「迷いは信念を心にすえる礎」との
いう全祝の言葉に景勝は上洛を決意する・・