隠居の独り言(710)

都議選は民主党の圧勝に終わったが、考えれば選挙前この梅雨時の蒸し暑い中を
候補者は汗だくで身を粉にし声を枯らせて奮闘したのは何も都民のためではない。
都議会議員」という名の肩書きのためで、その看板は大いにご当人に箔が付く。
譬えに優れた子供がいると「末は博士か大臣か」ともてはやすが、大人になると
社会の仕組みが肩書きだという事を思いしらされる。それは古今東西変わらない。
その昔、源頼朝が平家の全盛時代に旗揚げした時、伊豆に流されていた頼朝には
少年の頃に「従五位下・右兵衛佐」という官位を貰っていた実績があったからで
関東の武家不平分子が彼をかつぎあげて、やがて平家を亡ぼした。例え源氏でも
官位が無ければ木から落ちた猿同然で頼朝は歴史の舞台に上がらなかっただろう。
反面に馬の骨の弟の義経が頼朝に無断で朝廷から直接に官位を貰ったものだから
頼朝は怒り義経は周知の通り追われる身になるが、それほど官位の価は恐ろしい。
かつて長尾謙信(阿部寛)も関東管領上杉憲政から上杉の姓を貰って名乗るが
越中・越後にその雄を成すには由緒ある苗字と高い官位はどうしても欠かせない。
天下を手中にした秀吉(笹野高史)も最初は侍の大将役である征夷大将軍の位に
なりたがったが将軍は源氏の系統で決まっているので一旦、公卿の養子になって
関白の位を受けている。関白は今の総理大臣でこれ以上の位は無い。秀吉による
景勝(北村一輝)、兼続(妻夫木聡)、実頼(小泉孝太郎)等の叙位のはからいは
関白に絶対服従の何よりの威圧の証しであり名誉であった。大河ドラマ天地人
愈々、東北の雄、伊達政宗松田龍平)が登場してくる。伊達を討てとの秀吉の
命令に兼続は政宗に対面して戦をやめるよう説得するが政宗は取り合わないうえ
逆に政宗は激高して兼続に切りかかるが、政宗の妻・愛姫(杏)に止められる。
戦国時代の終盤は秀吉による小田原の北條攻めだが、折から北条が真田領に侵攻し
秀吉は遂に三成(小栗旬)に北条攻めを下知する。