隠居の独り言(718)

今太閤と謳われた昭和の大人物・田中角栄新潟県の農家の出身で子供の頃の
生活は極貧下を余儀なくされる。満州関東軍で飯を食い除隊後は建築会社を
営み成功するが、それに飽き足らず戦後には政界に入り出世街道をひた走る。
無学歴で首相まで上り詰めたことから今太閤と称され、功績は日中国交正常化
日本列島改造論など一世を風靡したが宰相の頂点に達した時、ロッキード事件
そして狂乱物価を招き列島改造グリーンピアの問題など晩年の負の遺産は大きい。
晩年を汚した角栄だが、今から450年前に極貧から身を興し国の頂点を極めた
太閤秀吉(笹野高史)も晩年は惨憺たるもので若かりし頃の天才的な機敏さや
物の見方は影を潜め老醜の漂うボケ老人に成り下がったが独裁者であるために
国にとって非常に始末が悪い。秀吉が天下を統一すると手柄を立てた家臣達に
与える恩賞の土地が無くなり膨張を続ける豊臣政権には行き詰まりが見えた。
そこで考えたのが日本の領土拡大で、妄想的発想で明(中国)を支配しようと
朝鮮出兵を強行して(その民族の恨みは今日まで続いている)兵達を疲弊させ、
朝鮮には国土の荒廃と軍民の大きな被害をもたらし、明には莫大な戦費の負担と
兵員を損耗によって滅亡の一因となり、豊臣も後に徳川に亡ぼされる要因となる。
一人のボケ老人が日本を危うくし現代でも後を引いているのは何ともやるせない。
また家督を甥の秀次に譲ったのに秀頼が生まれると甥は邪魔者で抹殺してしまう。
大河ドラマ天地人は、上洛した菊姫比嘉愛未)とお船常盤貴子)は、北政所
富司純子)や淀(深田恭子)や大名の奥方たちとの付き合いに追われていた。
一方、景勝(北村一輝)や兼続(妻夫木聡)の上杉軍は朝鮮出兵に備えるために
京へ入る。兼続は三成(小栗旬)に会い、出兵をやめるよう秀吉に進言したいと
頼むが三成とて秀吉を諌める力は無いし、もはや時勢の流れは止まらない。