隠居の独り言(721)

「織田がつき、羽柴がこねし天下餅、座りしままに食うは徳川」この狂歌
信長、秀吉、家康の三人の戦国時代から江戸時代までの彼らの歩んだ様々な
時の流れを詠ったものだが中々妙を得ている。歴史を楽しむ者にとり各々の
時代の好みはあっても、とにかくこの三人の比較論ほど面白いものはない。
三人の役者のお陰で日本史を濃縮ある味にして後世の我々はとても幸せだ。
でもそれは結果であり彼らは絶えず微妙なバランスの上で自分と相手と戦い
絶え間ない葛藤と、運不運の悲喜劇と、偶然の積み重ねで歴史が動いていた。
信長は天下を目前にしながら横死し、秀吉が後を継いだが晩年に運が逃げた。
秀吉が50歳を過ぎて、淀君深田恭子)に子供を儲けるが、若年の頃から
希代な女好きで多くの女性に接しても子に恵まれなかった秀吉が突然降って
湧いたような目出度さは老人になって(当時の平均寿命をとうに越えている)
しかも大勢いる局の中で淀君だけに出来るとは今も謎の一つになっている。
考えられる父親は、親密度からは大野治長か?政治的には三成(小栗旬)か?
それにしても淀君に男子・拾(ひろい)=秀頼が生まれた事が日本の歴史を
大きく変えたのは紛れもない事実だ。大河ドラマ天地人文禄の役で朝鮮に
渡った景勝(北村一輝)と兼続(妻夫木聡)に、ほどなく帰国の命が下る。
謁見の席で二人は秀吉の甥で今は養子になっている秀俊(上地雄輔)と会う。
秀俊は後に関が原で西軍を裏切る小早川秀秋だが、愈々ドラマの登場人物が
毛利輝元中尾彬)といい徳川家康松方弘樹)といい、関が原の前哨戦が
始まっているようでストーリーが面白くなっていく。