隠居の独り言(727)

大河ドラマ天地人は死を迎えた秀吉(笹野高史)に、諸侯たちは動揺隠せず
次の政権を狙う有力大名の権謀術中の高波に揉まれているが、その背景には
妻・おねね(富司純子)と、側室・淀(深田恭子)との「女の戦い」がある。
おねねは太閤秀吉の正妻として従一位北政所と称されるようになってからも
相対する人たちに昔の秀吉を面白おかしく話す気さくな女性であったという。
結婚当時の秀吉は雑役夫の小者であり、おねねの実家・浅野家は織田信長
足軽組頭だったから武士の身分として萱葺きの家で祝言を挙げる事が出来た。
永禄4年、秀吉26歳、おねね13歳の春だった。清楚な美人であったという。
難点は二人に子供が授からなかったことだが、それでも終生、夫婦仲が良く
秀吉が太閤になってからも二人は同席すれば人前構わずに冗談を言いあったり
大声で議論しあい、ひどい尾張の訛り言葉の二人だけの世界を満喫していた。
糟糠の妻は公私ともに秀吉の相談相手として天下を取ってからも尊大だった。
北政所というだけでなく豊臣の最大の政治勢力として諸侯からも怖れられた。
一方の淀のことは次回にして、ドラマは秀吉が利家(宇津井健)に後事を託し、
三成等にみとられ亡くなる。諸大名は伏見に集結し、席で家康(松方弘樹)は
三成を叱責し緊張が高まる。陰で家康は北政所に接近して上杉や三成の悪評を
吹き込むなどの暗躍をしていた。そして翌年には豊臣政権の重鎮だった利家も
この世を去ってしまう。世間の流れは着実に家康の方向に向かっていた。
三成(小栗旬)、景勝(北村一輝)、兼続(妻夫木聡)の試練が待っている。