隠居の独り言(733)

NHK大河ドラマ天地人は、愈々太閤秀吉の天下の跡目相続の戦いが始まったが
上杉家は会津に封じられて日も浅く国内の整頓が定まらぬ。家康(松方弘樹)の
薦めもあって兼続(妻夫木聡)は景勝(北村一輝)を奉じて大阪を去り帰国する。
途中に隠退の三成(小栗旬)を訪ね、来るべき家康討伐の作戦を練る話し合いは
今はその根拠が無いが、でも兼続は会津へ帰国すると国中に多数の出城を築き、
軍備を整えて家康の背後を狙う戦略を練る。会津は家康の本拠地の江戸に近い。
家康は領地を脅かされてはのうのうと伏見でのんびりしているわけにはいかない。
急ぎ諸侯を率いて上杉討伐のため関東に向かうだろう。そのとき三成は城を出て
豊臣恩顧の大名達を集め、日本の東西から家康を挟み撃ちにすれば、250万石の
大大名の家康とて窮して滅ぶに違いない。兼続と三成の構想と胸中は一致した。
でも若い二人の誤算は人心を読めなかったことで大企業の徳川家と零細企業の
石田家では信用力が違いすぎて諸将は「寄らば大樹の影」で勝負にならない。
それでも三成が奉行の職を追われ佐和山城に隠退しても、もはや家康と三成の
智謀戦になっている。これからの成り行きは互いに読みつつも後へは引けない。
案の定、謙信公の23回忌法要のさなかに家康から書状が届く。そこには上杉に
謀反の疑いがあるから上洛せよ、とあった。景勝と兼続は、返書にて潔白を示し
家康の理不尽に兼続は渾身の思いで書状を書く。世に言う直江状をしたためる。
直江状の兼続の思いも家康には計算済みで諸将の前では烈火の如く怒っているが
上杉討伐の大義名分が出来たと内心喜んだに違いない。かたや三成は、盟友の
大谷吉継津田寛治)等、西国大名と兵を語らい大老毛利輝元中尾彬)を
総大将として大坂城へ入り豊臣秀頼(小林海人)を奉じ家康討伐に挙兵する。
天下分け目の決戦は愈々、秒読みの段階に入った。