隠居の独り言(740)

関が原で、三成(小栗旬)に味方した西軍は九州の島津、西国の毛利、東北の
上杉を残して殆どの諸侯は、お家断絶を言い渡され、領地は東軍に分配された。
NHK大河ドラマ天地人「上杉転落」のストーリーは関が原の西軍敗退の後に
景勝(北村一輝)と兼続(妻夫木聡)も家康(松方弘樹)の命により上洛し
謁見の席で家康は謝罪を求めるが兼続と景勝は義は我らにありと拒否する。
事実、上杉挙兵は家康が無理に仕組んだ捏造だが、もはやそれは通らない。
豊臣恩顧の将兵が戦い、それに乗じて天下を握った家康に対し疑惑を持った
福島正則石原良純)など、小早川秀秋上地雄輔)に上杉家を助けるよう
持ちかける。秀秋は、淀(深田恭子)に上杉を救って欲しいと申し出る。
家康もまた戦後処理の巧妙さは、江戸に幕府を作るための構想と徳川家の
永年存続に賭けて知恵の限りを尽くしていた。既に家康の年齢は57歳で
当時の平均的寿命から考えると老齢期に入ったといえる。あせる気持ちは
早急に豊臣家を亡ぼし徳川の天下にしたかった。豊臣家を亡ぼすのには後
17年を要したが、ともかく西軍の諸大名の殆どを処刑・改易・減封に処し、
その奪った所領から徳川家の領有地を250万石から400万石に増やした。
反面に豊臣秀頼には250万石から一挙に4分の1の65万石に、五大老
一角を占めた毛利輝元上杉景勝共に120万石から30万石に大幅減封し、
有無を言わせず家康は、毛利は広島から山口へ、上杉は会津から米沢へ、
所有地の移転を下命した。家康は二年後に朝廷から征夷大将軍に任ぜられ
江戸幕府が誕生し秀吉の死から4年間で武家の棟梁としての地位を手に入れ
名実ともに豊臣氏を上回る地位を確立し、徳川300年の時代がここに始まる。