隠居の独り言(747)

今年の大河ドラマ天地人」はいつもの年と違って11月に幕を閉じるらしいが
ドラマのストーリーとしては関が原が終わり戦後処理で米沢に移封された時点で
上杉景勝北村一輝直江兼続妻夫木聡)妻、お船常盤貴子)たちの役割は
歴史の舞台を退いている。最終コーナーは悪役になった家康を演じる松方弘樹
どこまでハマリ役に徹することが出来るかが見ものだ。家康は江戸に幕府を開き
天下の将軍になったのに多くの豊臣恩顧の武将たちが大阪城の秀頼に臣下の礼で
接しているのには面白くない。秀頼は僅か65万石の一大名に落ちたといっても
天下の権を確立するためには豊臣家とその股肱を潰さねばならなかった。しかも
秀頼の母、淀(深田恭子)も家康を未だに家臣とししか扱わない。豊臣の武将は
家康が死ねば秀頼を立てようとする機運があるのは、家康は直に肌で感じていた。
家康はもう70歳、天下取りの先輩信長は49歳、秀吉は63歳で亡くなっている。
老いていく家康に対して秀頼は少年から青年へと日一日と健やかに成長していく。
もう待てない!人生の残された時間は豊臣を潰すためのみ費やすのに生を賭けた。
理性も恥も捨てて、今まで人から律義者とか温厚な人柄とか思われてきた家康は
人が変わったように狡智にみちた陰謀家に変身するのも厭わなかった。大阪城
保管されている金銀を社寺造営に浪費させ、秀頼に対しては征夷大将軍の家康に
下座の家臣になるよう要求し何かと難題を付けて陰湿に窮地に追い込んでいった。
ドラマは兼続の長女・お松(逢沢りな)と本多正信の次男・政重の婚礼に反対した
実頼(小泉孝太郎)を高野山に追放する。その高野山には真田幸村城田優)も
追放された身でいた。