隠居の独り言(762)

明治22年2月11日に、初代神武天皇が即位したとされる紀元節を期して
明治憲法が発布され日本はアジアで最初の立憲国家となった。欧米諸国の
他には成文憲法を持ち実施した国はそれまでに無くアジア・アフリカなど
非白人の住んでいる地域や国の殆どが植民地で法律は宗主国のものであり
日本が憲法発布にまでこぎつけたのは世界史でも画期的な出来事であった。
司馬遼太郎は「小さな国」と書き出したが、その小さな国が憲法を持った。
その誇りは日本人全体に波及し各地で提灯行列など興奮のるつぼに化した。
同時に日本の日の出はあらゆる層から傑出した人物が出た時期と重なるのは
必須といえるのだろう。大河ドラマ坂の上の雲」の秋山好古(阿部 寛)
真之(本木雅弘)、子規(香川照之)をはじめ登場する広瀬武夫藤本隆宏
東郷平八郎、大山巖、乃木希助、児玉源太郎山本権兵衛、などの軍人たち
政治家の伊藤博文高橋是清等、みな貧乏の底を味わった下級士族や庶民の
出身で彼らが新しい日本の国作りをリードしたのはまさに開明期そのものだ。
のみならず実業家の平沢栄一、岩崎弥太郎安田善次郎等も卑賤の出だった。
幕末→戊辰戦争西南戦争と死に物狂いで戦った生き残りの雑草達は厳しく
苦しい体験を持ったからこそ、あらゆる難関に耐える勇気と力を備えていた。
ドラマのストーリーは、子規が肺結核のため喀血し、病気療養で松山に戻る。
律(菅野美穂)は再び嫁いでいたが母(原田美枝子)と共に彼の看病をする。
江田島から帰省した真之は子規を見舞い二人は3年ぶりの再会を喜びあう。
ロシアが極東侵略の野望を露骨にしたのは江戸中期から後期にかけてで
最初は対馬を占領としたがイギリスに軍艦を派遣してもらって退去させたが
明治に入り今度は遼東半島や朝鮮に迫ってくる。清国も朝鮮の内乱に乗じて
大軍を派遣するという。朝鮮は日本の生命線であり戦争の色が濃くなった。