隠居の独り言(769)

戦国時代末期から江戸時代にかけて大名達の論功行賞で「国替え」が行なわれた。
天地人」の上杉景勝が越後→会津→米沢と移封したのは秀吉の栄転辞令であり
関が原の敗戦の結果でもあった。そして石高増減のセットなのは言うまでもない。
それでも従来の主従関係はそのままで、以前からその大名に従っていた家来者は
新しい土地では上士として、以前から住んでいた土着の武士たちは下士として
身分が定められた。特に関が原の戦では全国が東西に分かれて戦い、徳川家康
東軍が勝ったために東軍大名は恩賞として西軍大名の領土を分かち与えられた。
4年前の大河「功名が辻」での上川隆也仲間由紀恵が演じた山内一豊・夫妻は
一介の尾張出身の地侍だったが信長・秀吉・家康と主を替え、関が原では徳川に
自領の掛川城を提供するという忠義を示したために合戦後に土佐20万石を賜り
家来一万数千人とともに遠州掛川から四国土佐に赴任してきた。そして山内侍は
占領軍として藩の要職を独占し上士として身分制度が厳しく定められた。一方の
土佐では領主・長宗我部盛親が西軍に組みしたため土着の家来たちは下級武士の
下士郷士)とされ差別を受けた。階級的に上士・郷士足軽の三段階に分かれ
足軽は雨が降ってもハダシで下駄も履けない。郷士は酷暑でも日傘は差せない。
そのうえ上士は郷士足軽、百姓らに対して無礼討差許しの特権も与えられた。
その他、様々な差別があり、衣食住、作法、言葉などの細かい法が定められた。
そのために土着の土佐人と占領軍の山内侍とは潜在的、顕在的な抗争が300年に
亘ってくりかえされた。竜馬(福山雅治)の坂本家は郷士の身分だが一族の中に
豪農・豪商もいて経済的には恵まれていたらしい。大河ドラマは18歳になった
竜馬が、父・八平に自分が生きるための道筋を探そうと、江戸行きを願い出るが、
父は認めず替わりに堤防工事の差配役を命ずる。竜馬の噂を聞いた足軽の身分の
岩崎弥太郎香川照之)は、江戸行きを羨ましく思うがどうすることも出来ない。
そんな折、郷士平井収二郎の妹で、幼なじみで和歌などを嗜む才女でもあった
初恋の相手、加尾(広末涼子)が訪ねてきて縁談の話が来ていると打ち明けるが
彼女の気持ちを正しく受け止めることが出来ない純な竜馬だった。劇中で福山の
三味線の弾き語りがあったが、ものの一分足らずだったのは惜しい!残念!