隠居の独り言(810)

自分が生きた70数年は昭和の動乱、戦後の高度成長、平成の改革など社会が
大きく様変わりしたのは時の変遷の中で家族のあり方も大きく変わってしまった。
現代の核家族が当たり前の時代は、日本人が長年培った家族の概念を根本から
覆したもので、欧米化の流れが遂にここまできたのかと感慨深いものがある。
昔は三世代・四世代が同じ屋根に暮らし苦楽を分かち合い子孫繁栄の基である
赤子は家で産まれ親兄弟みんなで育て上げたし老いた爺婆の面倒も屋根の下で
面倒を見てきたものだ。忙しい農家や商家の嫁姑も学校に通う孫娘も専門的な
医学の知識が無くても優しさが爺婆への最大の介護だった。子供は目の辺りに
老いていく爺婆の醜さや悲しさを知り人生のサイクルを身をもって体験した。
お産の時に忙しく走った事も、お婆ちゃんが亡くなって遺体を拭き清めた事も、
生まれ、死ぬという人間の生き様を当たり前のように感じた生活は遠くなった。
今の年寄りは生活に充分の年金が入り、少し経済力があれば高級老人ホームを
購入して何一つ毎日の生活を心配しなくてもいい人生の終末が保障されている。
そのうえ町を歩けば様々な高齢者割引、中には無料の乗車パスまで支給される。
こんな老人天国が、つい半世紀前まで予想されただろうか。保つわけが無い!
人が動物なら死ぬまで働くのが当然だが、野生の動物は餌が取れなくなったら
死ぬほかない。その基本的な原理原則が忘れられている現代の人間の生き方は
どこか変ではないか?戦後の個人主義の流れが過度に進んで個々が崩れていく・・
そのくせ老人も若者も互いに頼る脆弱さがあり、結果的に少子化の原因になる。
家族の絆が崩壊し少子化が進めばいずれ国家が滅ぶ。医療・年金が赤字財政や
少子化の傾向で、現状維持が難しいのが確定的なのに口にせぬ政府は無責任だ。
年金は子供の数と連動するのは当然なのに政府も選挙目当てのその場しのぎで
将来の展望が無い!いっそ「少子化連動年金」にしたほうが分かりやすいのでは・・
少子化が何をもたらすのかを老人も若者も知らない!