隠居の独り言(823)

先日、江戸東京博物館での「竜馬伝」で彼の肖像写真を何枚か見たが、現在のところ
6枚が確認されているという。最も知られている両手を隠したポートレートの写真は
長崎のスタジオで撮れたもので小判大の代金は「金百疋、紙取り三分、中判三分」と
規定され、今の金額に換算すると一両が約20万円として、金百疋は5万円、三分は
15万円だから総計すると35万円にもなる。誰もがカメラの前に立てるものではない。
しかも竜馬は靴を履いているが、昭和になった頃の庶民の服装を思い出しても大抵は
草履か下駄を履き、靴を履いている人は軍人、警察官、高級サラリーマンに限られた。
まして幕末!むろん輸入品だから値段は想像もつかない。靴に限らず、拳銃も私物で
身なり格好も一般の志士達とは比べようがないほど清潔で資金が潤沢だったのだろう。
話がそれた。元治元年(1864)の夏は、長州藩にとって藩の存亡にも繋がりそうな
事件が相次いだ。7月には池田屋事件の報復のため久坂玄端(やべこうすけ)などの
約3000人の長州兵が京都に乱入したが会津・桑名・薩摩藩の圧倒的な軍勢に破れて
久坂たちは自裁し敗退する・・8月には国許で英・仏・蘭・米の連合艦隊に砲撃され
武器弾薬を完全に没収されて完敗した・・だが講和の交渉役に任命された高杉晋作
そもそも攘夷は幕府の支持で行なわれたものとし賠償金の支払いは幕府に押し付けた。
ドラマは竜馬(福山雅治)が伏見の船宿・寺田屋の女将に励まされ神戸海軍操練所へ
戻っていく。折からの蛤御門の変で京を訪れるが復讐を誓う桂小五郎谷原章介)と
出会って戦況を知り、一方焼け出された、お龍(真木よう子)を寺田屋の女将に託す。
その神戸海軍操練所も、幕府の内部で長州を徹底的に潰してしまおうとする次将軍・
徳川慶喜田中哲司)と、内戦は避けるべきだという勝燐太郎(武田鉄矢)と対立し
勝は海軍操練所の閉鎖を命じられてしまう。