隠居の独り言(834)

習いごとが楽しいものと思うようになったのは最近になってからだが、終着点が
無いというのも張り合いの要因で、継続を絶えず心がければ下り坂はありえない。
今に思えば何度も壁にぶつかり紆余曲折を経ながらギターを手放さなかったのが
結果的に良かった!昔、娘が音大合格した時に自分も何か楽器をやってみようと
近所の村治ギター教室の門を叩いたのが始まりで最初は手軽に音楽を楽しめると
思ったが大間違い!師匠の愛嬢で小学生の村治佳織がすらすらと弾いていたので
こんなものかと思ったら彼女は天才だったと後で気がついた。そもそもギターは
楽器の音量が小さい割に指の使い方が難しく他の弦楽器とはまるで異質だと思う。
ギターの歴史は古いらしいがモーツアルトやベートーベンなどの大作曲家でさえ
手が付けられなかった奏法は、いかに難しいかを物語る。やはり自分には無理か・・
クラシック曲にも馴染めずテクニックも落ちこぼれて今では歌の伴奏楽器として
使い始めた。最初は老人ホームの慰問から始まったが童謡や歌謡曲が受けが良く
古賀メロディは弾き語りにもってこいのギター曲といえるが今のホーム入居者は
昭和一ケタの80代の人が多いから若い頃に聴いた「影を慕いて」などは最高だ。
それはともかく今の楽しみはラテンを歌うのが至福で甘いメロディと体の中から
発散するリズム感は性に合っている。Kさんとのご縁でペルーのマヌエルさんと
一年前にDuo Amistad(二人の友情)を結成したが、マエストロは温厚なかたで
何でも優しく教えて下さるし、素人の自分に暖かく音を合わせていただいている。
願っても無い師匠との出会いは「運」の不思議と感謝で私にとって最高の財産だ!
なかでも楽しみはライブ演奏に尽きる!初めの頃は気持ちばかりが高揚し練習の
成果も、まるで出なかったが場慣れの積み重ねで最近は少しだけ免疫が出てきた。
ライブが成功したとき、演奏する者にとって最も晴れやかで嬉しい瞬間といえる。
演奏する者にとっての究極は対話の成功だが、どんなにCDやDVDが発達しても
ライブにおける演奏者とお客様との一体感と臨場感の感激はソフトには表わせない。
でも、言うは易し、行なうは難し、一朝一夕に叶うものではないが、成功した時の
トキメキと満足感は何ものに得難し!音楽の喜びをしみじみ感じている・・