隠居の独り言(835)

新聞記事によればイギリスのキャメロン首相が国の財政赤字削減の一環として
アメリカを訪問した際チャーター機ではなく民間機を使用したという。しかも
同首相はファーストクラスを拒否してビジネスクラスに乗り、都市から都市へ
移動の際も列車を利用した。キャメロン首相は新聞・テレビのインタビューで
巨額の財政赤字を抱えており残念ながら重役用航空機を使うことはできないと
述べたというから、日本に置き換えてイギリスの何十倍かの国債を抱えながら
贅沢三昧の政治家の外遊や、要人の政府専用機のチャーターなど常識的にみて
彼我の政治に対する考えの差に感嘆を覚え、ため息の出そうな日本の政治家の
金銭感覚に怒りを感じる。一家が借金で困っているなら父さんは晩酌も減らし
付き合いのゴルフも止めるだろう。母さんは家計の切り詰めに懸命に頭を絞る。
子供達も感じて小遣いの多少の減額を呑むだろう。長年に培われてきた一般の
常識が崩れてきている気がしてならないが、先週、北朝鮮の元工作員金賢姫
拉致被害者と会うために日本を訪問した際も政府の対応はまるでVIP待遇で
わざわざチャーター機を用意し、軽井沢の鳩山由紀夫前首相の豪華別荘を使い
高速道路を止めるとはピント外れもいいところで彼女はいったい何様なのか!
会うなら韓国でいいし、韓国の都合が悪いのなら公海の船の上で会えばいい。
拉致というデリケートな問題を大げさにするのは被害者への配慮に欠けるが
面会された横田滋・早紀江さんだって、きっと戸惑っていられるに違いない。
工作員拉致被害者の面会の意義はとても大切だが政権のパフォーマンスに
利用することではない。問題解決の方法なら思い切って小泉純一郎のように
菅首相自らが平壌へ乗り込むほどの勇気が必要になってくる。立場は違うが、
イギリス人気質の質素な考えとの違いを思い知らされたことと、「勿体ない」の
日本人の美意識はどこへ消えたのか?考えさせられる。