隠居の独り言(837)

慶応元年(1865)幕末の日本は独占的な開港をめぐって幕府の力が増していた。
幕府を操るのは小栗上野介で彼はフランスに助けを求めて全国諸藩を牛耳り
徳川家を中心に幕藩体制を作ろうとし手始めに長州藩討伐を目論んでいた。
もしフランスの全面的援助があれば、圧倒的な軍事力で薩摩も長州も無い!
全国三百諸侯は幕府にひれ伏し徳川独裁政権が出来るだろう。でも見返りに
フランスは樺太、北海道、対馬を要求し貿易条項も不平等極まりないだろう。
一方のイギリスは長崎から薩摩、肥前、長州等の西国雄藩に声を掛けていた。
アメリカ・オランダ・ロシアなども日本のあらゆる権益に食指が動いている。
幕末史は国内の紛争の様子を主体に語られがちだが欧米諸国の植民地政策の
それぞれ国家間の覇権争いに大きく関っていた事実を見逃すことは出来ない。
欧米の白人国家は既にアフリカ・アジアを征服し最後の美味しいデザートに
日本を狙っているのは明白なのに気付いている人の何と少ないことよ・・
ところで幕府軍の洋式装備はフランスから買い取ったゲペール銃が主体だが
当時の欧州陸軍の制式銃であっても銃の命中精度はたいしたことはなかった。
最新式はアメリカで開発されたミニエー銃で弾の装填時間も早く命中精度も
ゲペールに比べて10倍という。アメリ南北戦争で多くの銃を使用されたが
5年に及んだ戦争も終り、余った大量のミニエー銃が上海に山積みされている。
それを聞いた長州はミニエー銃が欲しくなり、例え幕府の大軍が襲ってきても
銃の3000丁もあれば撃退するには充分だ。でも表向きに長州は外国と取引が
出来ないのが泣き所で、そこで竜馬(福山雅治)の亀山社中は薩摩名義で銃を
輸入し長州に売り渡す策を講ずる。来る薩長の同盟に至る歩みは、この辺りで
始まったといえる。ドラマは竜馬は薩摩の西郷吉之助(高橋克美)から長州と
手を組んでもいいという答えを引き出す。竜馬は長州の高杉(伊勢谷祐介)に
会うため大宰府を訪れるが高杉は去ったあとだったが京都を追われた三条実実
池内万作)を警護していた土佐勤王等の中岡慎太郎上川隆也)と会って
将来の日本像を語り明かす。薩長同盟に至る慎太郎の活躍は目ざましいもので
竜馬の盟友となり、最期は竜馬と運命を共にするが今は分からない。