隠居の独り言(838)

「お使いに出した子供をそっとつけ」古川柳にもあるが初めてのお使いで行った
子供を心配して尾行する親は心配半分の心境なのだろうか。なんとも微笑ましい。
3歳になる孫娘も盛んにお使いに行きたがるが我が家の尾行役は爺になっている。
全国の児童相談所が昨年に受け付けた虐待相談は過去最多の4万4千以上という。
相談に入らない虐待の実際はその数倍と云うから戦慄を覚える数になってしまう。
洗濯機に入れる、木箱に詰める、餓死をさせる・・一番に信頼している親から
理不尽な仕打ちを受けた子たちの何と哀れで痛ましいか想像外に身につまされる。
子は親を選べない!子は親によって育てられ甘えて生きるすべしか知らないのに
それを虐待で応えるとは生物の本能として真に考えられないところまできている。
理由付けに、育児能力が無い、ストレスが募った、望まない妊娠、とか様々だが
言い訳は許せない!赤子に頬ずりする愛しさや嬉しさが生まれるのは当たり前の
親としての根本が喪失している。人情味の根幹は異性を愛し、結晶の子を儲けて
育てることだが生きとし生ける地球の動植物は命の循環を延々と繰り返してきた。
種の保存のため、後世に伝えるため、愛情だけでなく自らの命を賭してまでして
子育てに没頭するのは愛という本能でしかない。子育ての放棄は人間だけなのか。
万葉集にも奈良時代を代表する歌人山上憶良の「子は宝」と詠んだ有名な歌がある。
「銀(しろがね)も、金(くがね)も玉も、何せむに、まされる宝、子にしかめやも」
カバキコマチグモは秋に巣の中で産卵し孵化すると群がる子蜘蛛は母蜘蛛の身を
食べて春を待つという。母蜘蛛は反撃することなく文字通り子蜘蛛に献身をする。
蜘蛛にも劣る親たち!怒り心頭だが役所の役人も他人事のように対応が遅すぎる!
夏の夜に、江戸川柳をもう一句「寝て居ても団扇の動く親心」