隠居の独り言(841)

現代の社会構造で空気のように感じている株式会社という組織は封建時代の
武士の世では考えも及ばなかった。竜馬((福山雅治)が作った亀山社中
まさに株式会社そのもので結局仲の悪かった薩摩と長州が資金を出し合って
株主というカタチで一緒になっていく・・竜馬は薩長同盟を構想する段階で
商売という手でやっていけると気付く、しかも誰よりも早く考えついたのは
生まれが郷士の質屋・坂本家というDNAの商業的センスがあったのだろう。
当時の国内の資本を牛耳っていたのは豪商の鴻池や住友だが金融体質が古く
商業戦略も無きに等しく得意先が大名や国内の商家のみで幕末の変遷に対し
発想も欠け世界観に立ち遅れたといえる。後の明治維新のとき大名の借財を
帳消しにされて瀕死になったのをみても竜馬の先見がいかに素晴らしいかを
歴史が物語る。株式会社は周知の通り資本を出して配当を貰うシステムだが
それに気付いた亀山社中の発起人の竜馬の発案は、やがて犬猿薩長を結び
倒幕の種がこの瞬間に蒔かれた。時を経て竜馬の亡き後の亀山社中を継いだ
弥太郎(香川照之)が三菱財を築けたのも竜馬の考えた先見性の賜物以外の
なにものもない。大河ドラマ「竜馬伝」は、長州が欲していた船舶と武器を
薩摩名義で買い長州に渡すという竜馬と晋太郎(上川隆也)の策に桂小五郎
高杉晋作は乗ることにする。長崎に戻った竜馬は亀山社中の大きな初仕事と
意気込みイギリスのグラバーに話しかけるが薩摩名義の商取引のはずなのに
薩摩藩士がいないのにグラバーは疑問を抱くが話を聞いた、お慶の口添えも
あってこの商談は成立する。ある日竜馬はグラバー邸内で十字を切っている
お元(蒼井優)を見る。お元は自分のクリスチャンを黙ってもらう代わりに、
竜馬の商談を長崎奉行に伝えないと約す。