隠居の独り言(842)

会社は六月末が決算だが、昨日は税理士から今年度の決算報告書が届けられた。
売り上げ利益とも、ここ3年は殆ど変わらない。変わらないのはいいことだが
数年前のリーマンショック関連で大手得意先が倒産し売り上げが激減して以来
社が伸びていないという結果でどうやら生きている状態としかいえない展開だ。
帽子に限らず繊維産業に携わる殆どの製造業者は安価な輸入品の影響を受けて
構造的不況のイメージの最も強い長期低迷的だが生産の縮小や品目の絞込みで
生き残った者はやや落ち着きを見せている。でも先行きの不透明は変わらない。
自分は既に年金を頂いているので生活は事欠かないが繊維の関連に関る仕事や
商売だけで食べている人たちに超氷河期に入っている実態はとても深刻に思う。
そのうえデフレの波が容赦なく商品や工賃の値下げの得意先から要求があるが
対応の難しさは積年商売に携わっても、その都度に頭の痛い交渉が求められる。
でも商いは生き物で山あり谷あり今が辛くても上手く成功した時の喜びを知り
仕事の醍醐味を体験した者にとって生涯現役を願う。幸い自分には定年が無い。
といって定年をした人のように仕事から解放される事の無いのは当然としても
気持ちの停滞は許されないのは仕事は絶えず流転し世間の波に乗っていないと
落ちこぼれてしまう。鴨長明の「方丈記」の言葉の「行く河の流れは絶えずして
しかも元の水にあらず」の心境で、古きに囚われず新しきを求めていかないと
業界では生きていけない。歳を重ね頑固一徹になっていく人が多くを占めるが
長い期間を自分の信念一筋で生きて人生を貫いたのだからそれは当然だろう。
しかし生涯現役とは、いくら自分の技術や認識に自信があったとしても世間で
応用するには俗なものにも身をさらさねば通用しない事は自明の理に違いない。
企業戦士の一人として世間のモラルに合わせ自分なりの原則を考え実践をする。
ゴールに辿るまで、言うは易し、行なうは難しだが、自らの人生訓にしている。
今月中に今年度の法人税、消費税、税理報酬を振り込み決算が終る。