隠居の独り言(853)

改造内閣が発足した。内憂外患の難しい昨今だが特に外交に目を向けたい。
「仲良き事は美しきかな」武者小道実篤が、かぼちゃやじゃがいもの絵画に
書き添えられた有名な言葉だが友好とか友愛とかの言葉で中国に片思いする
民主党の面々は今回起きた尖閣海域で発生した日中船の衝突事件とその後の
中国側の恫喝外交と強硬姿勢にはどう映っているのだろうか?強引な横車も
なんのその、公務執行妨害で拘留中の船長の即時放免を求め、東シナ海での
天然ガス交渉の延期、要人の訪日延期、首脳会談の延期、在留日本人達への
嫌がらせ、中国メデイアは反日言論に溢れ日本への敵意をむき出しにする。
「もはや日本は中国にとって重要でなく関係が悪化しても耐える力がある」
と日本不要論まで唱える。かつて中国の李鵬元首相がオーストラリア訪問中に
「日本という国は20年もすれば地球上から無くなるだろう」と放言したというが
それが現実味を帯びてきた。ミサイルの砲身を日本に向け果てしない軍拡に走る
中国にどう向き合えばいいのか?かたやアメリカは「尖閣諸島は日本の施政下で
有事の際はアメリカ軍が対処する」と日米安保条約の適用対象との明確な見解を
示したが、中国を牽制するアメリカという国に頼れる友として再確認させられる。
中国とアメリカ、どちらが真の友人か?尖閣は格好の宿題を出してくれた。


池波正太郎の「鬼平犯科帳」の主役・長谷川平蔵にすっかり魅せられ一人だが
その劇中で、放火犯や盗賊団を取り締まる火付盗賊改方密偵が同心に手柄を
立てさせたくて無実の男を拷問して自白させ放火犯に仕立て上げるが処刑直前、
平蔵は男が無実である事を突き止めて真犯人を捕まえるというストーリーだが
意外なのは同心と密偵が江戸追放や島流しの処分を受けたと書いていることだ。
今でいうなら自白を強いて無実の罪をでっち上げた取調官が懲戒免職で済まずに
刑事罰を受けたといった事だろう。小説の世界にしても江戸期の方が役人不正に
厳しかったのだろうか。冤罪を作った取調官が処分を受けたという話は聞かない。
足利事件菅家利和さん、郵便不正事件村木厚子さん、北九州の「爪はがし」等
やってもしない罪を被せられて、どれほどの人々が冤罪で闇から闇に消えたのか
今では調べようがないが取調官が描いた構図に合わせて供述調書を作成していく
捜査手法は以前から問題視されていたのに「特捜神話」を育てたのはマスコミで
なかったのか?検察は大きな危機を迎えているがメディアもまた猛省を求めたい。