隠居の独り言(866)

やがて竜馬(福山雅治)は中岡慎太郎上川隆也)とともに京都・近江屋で
暗殺されるが、未だに真犯人が判明しないなかで土佐藩説というのがある。
長崎から大阪に向かう船の中で竜馬は後藤象二郎青木崇高)に大政奉還
政策の斬新なアイデアを披露する。世にいう「船中八策」で象二郎は感動し
藩主・山内容堂に説き幕府へ建白するように工作して大政奉還が実現するが
このため象二郎は内外の脚光を浴び、藩もその功績により土佐藩参政という
重要ポストに抜擢される。しかも船中八策の現文書も写本も残っていないし
大政奉還の基本方針を起草した竜馬のことを象二郎は誰にも語らずあたかも
自分の発案のようにしている。当然に象二郎がこの大手柄を独占するには
竜馬が生きていてはまずい。土佐藩説が出るにはこれら成り行きなのだろう。
人間は勝手なもので薩摩・長州・土佐が、あれほど竜馬の世話になりながら
竜馬の死後はその名が埋まって世に出たのは明治も40年近くなってからで
海援隊田中孝顕が皇后さまにお話ししたのがきっかけで世間が知った。
人々の自らの名誉のための勝手、冷淡を知る思いは竜馬の活躍が哀れに思う。
大河ドラマ「竜馬伝」は、イギリス人水夫殺人事件で犯人の嫌疑が海援隊
掛かってくるが、イギリス公使・パークスは弥太郎(香川照之)に真犯人を
引き渡さなければ土佐藩を攻撃すると脅かす。かたや、この事件を目撃した
お元(蒼井優)が犯人は竜馬でないと断言したのを気に入らないと奉行所
荷物を調べるとロザリオが見つかりキリシタン弾圧が加わるが逃げるお元を
竜馬は見つけ、パークスにお元をイギリスに連れて行ってくれるように頼み
お元は、ひそかに長崎から旅たっていく。