隠居の独り言(870)

2015年までに関税の原則的撤廃という、いまや党派を超えて永田町を二分する
TPP(環太平洋経済協定)で貿易全ての関税を撤廃するという案件は大賛成だ。
これに参加すると工業製品の輸出が促進されるいっぽうで農産物が大打撃とか・
そもそも日本は技術立国で戦後の焼け跡から奇跡的に世界第二位の経済大国に
なったのは優秀な工業製品が出来たからで農業や漁業に携わる人たちも経済の
恩恵を受けたのを忘れてはいけないと思う。戦後には農地改革により自作農が
大量に発生し土地価格の急激な値上がりで相当に潤いその恩恵は域を超えるが
その他にも食管法により米麦は農林省が全量固定価格で買い上げる事となって
農家は生活の安定が保証されたことから都市に住む人との格差が顕著になった。
そして今もコメに778%という信じられない程の高い関税を掛けて農家を守る。
いっぽうで物作りに携わる人へは国から何の援助も無く、ひたすら技術を磨き
製品つくりに精を出し結果的には国際競争にも勝ち抜いて経済大国になった。
最近は円高のひずみも出て国外に工場を移転すればますます日本の技術立国が
危うくなっているのをTPPに反対する農業団体は甘え過ぎではないかと思う。
地方に旅をしてみると広い立派な家屋と庭を構え車の数台も所有しているのは
殆どが農家で今までの戦後政府の政策がいかに農業優先の選挙目当てだったか
分かろうというものだ。私事を言わせてもらえば戦後の飢餓状態だった時期も
都市部に住む人は少量の芋粥やスイトンで飢えを凌いだのに農家の人は白米を
お腹一杯食べていた。飢餓に苦しんだ少年時代の食べ物の恨みは一生付きまとう。
TPPの貿易によって食料品は安くなるので市井の庶民や低所得者には朗報だろう。
農家に携わる人も国際競争力に対抗できる農産物を作る工夫を怠っては乗り遅れる。
努力する人が報われる時代が来た!