隠居の独り言(897)

孫が通う高校の内部テストに合格したので褒美にケータイを買ってもらった。
最近の統計で小学高学年の30%、中学高学年の80%が持っているらしいが
子供にとってケータイは「心の習慣」を変えてしまっている気がしてならない。
成長期に養うべき五感が器械の魔物によって損なわれているのではないか?
人の本来は怠けもので自分にとって少しでも楽な道があればそちらに流れる。
現代の科学技術の進歩は目を瞠はるが知らないうちに心の領域まで入り込み
愛情や友情といった人間関係から生活様式まで様変わりしている人の基本を
考える時が来ているのではないか。特に象徴的なのは自動車・TV・ネットで
自動車の普及は大型店の郊外化やレジャー旅行のスタイルを変え都市構造や
人々の行動まで変えたし、TVの登場は気持ちをオタク的にするだけでなく
かつて家族が団欒の時間だった夕食の場を黙々とTVを見ながらの雰囲気は
食事もまずいし心が通わない。ネットの世界のPCやケイタイは人間関係の
稀薄さが強まり、心の情愛が薄れていく・・まして子供の成長期に人や社会の
触れ合いをしないでゲームやケータイに嵌っているのは身体や心を退化させ
歪めてしまっている。その歪んだ状態で大人になった若者の何と多い事か!
ネット依存による孤独化が影響していると思われるイジメ、未成年の非行、
集団暴行、幼児虐待、通り魔事件、そこには人間の温もりが感じられない。
最近の事件簿に「学校裏サイトのいじめで生徒が自殺、出会い系サイトで
女子生徒がホテルで絞殺、プロフを通じて知り合った中学生同士の喧嘩で
瀕死の重傷、・・」きりがない。子供だけでなく大人だってケータイの多用は
人との直接の触れ合いを失くし、情愛、感性、言葉、振舞、思考力を損なうが
自分も含めてネットの依存度を考えたいと思う。