隠居の独り言(908)

大河ドラマ「江」の場面は、市(鈴木保奈美)が茶々(宮沢りえ)や初(水川あさみ)
江(上野樹里)たちを連れて新しい嫁ぎ先である勝家(大地康雄)の越前・北庄城に
移るシーンだが史実からいえば当時、市が35歳、茶々13歳、初12歳、江9歳で、
三姉妹はまだ幼い子供なのに役柄と役者の年齢の差が大き過ぎるのが気にかかる。
まして以前に、幼い江が信長(豊川悦司)や家康との単独の接点なんて考えられない。
大河という長期間を扱うドラマでは同じ俳優が演ずるのは年齢的な無理があっても
芸だけで完全にカバー出来ないし視聴者の多いTVでは無茶な配役はやめてほしい。
歴史の勉強の題材にしている学校もあるというからキャスティングはとても重要だ。
江はこの時分から13年後の22歳で徳川秀忠向井理)に嫁ぐわけだから年齢的に
上野樹里の江をここに焦点を合わせたが史実的に三姉妹に子役を立てて欲しかった。
しかし年齢を離れてみてもキャスティングというのは考えてみるとなかなか面白い。
歴史ドラマの場合、誰もが歴史上というイメージがあるから上手くはまったときと
外れたときとの落差がとても大きい。はずれと思うのは秀吉と家康を演じた役者で
家康のイメージは残された肖像画から見れば下張りの丸顔の小太りで性格は慎重で
計算高く、そのうえ狡猾な人物というが二枚目で正義感の北大路欣也は似合わない。
秀吉のイメージの姿は猿とも剥げ鼠とも称された小男で貧相な顔立ちと思われるが
裏腹に彼の持ち味は戦略、戦術、政治感覚に長け若い時分は人間味もあった英雄で
配役も難しいが岸谷五朗は背も高く、間の抜けた行いは秀吉像から遠く離れている。
反面良かったのは織田信長浅井長政明智光秀柴田勝家、おね、千宗易などの
役柄と役者のイメージが合致した感じがした。たかがキャスティングというけれど
NHKのディレクターさん、もう少し気を配ってほしい。