隠居の独り言(917)

外国の援助隊員がスマトラやハイチの大地震よりもひどい、と絶句した震災の
津波の凄惨な状況をもたらした東日本大震災から二週間が過ぎたが日本として
誇りに思うのはあの悲惨な錯乱状態のなかで助かった人々が互いに励ましあい
助けあったのは世界中から日本人の忍耐強さと秩序に称賛の声が上がっている。
そのうえ非情に襲う寒さや食料の不足にも耐え救援物資に人々は順序良く並び
運命を分かち合う気力は真に敬服に値する。他の国は群衆による略奪や暴動が
起きる事件が多いが、そこは日本人の平和を貴ぶ素質と品格であり世界に誇る
相互扶助の精神力と思う。汚職も騒擾も聞かず静かな秩序と威厳を保てるのは
世界でも稀ではないか。瓦礫の中で汗する自衛官や警察官、命を賭して原発
放射能に向かう消防士などの感動は枚挙にいとまがないがこれが大和魂だろう。
風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉がある。大震災から桶屋までの過程は
砂埃、目病み、三味線弾き、猫、鼠と繋がりがあって、猫がいなくなって鼠が
桶をかじり桶屋が繁盛という連鎖の話は全国殆どの人や企業が多かれ少なかれ
震災に関連する筋書きはこれに似ている。多くの方々が悲惨な目に遭われたが
反面に地震を機に相当に稼いだ業者がいるのも現実だ。地震直後の株式相場は
殆どの企業の株が暴落する中で建設土木関連だけが大きく値を上げているのは
桶屋そのものだが、多くの企業が工場の被害関連で製品化出来ないのも現実だ。
不幸にして災害で生活を奪われた人、何事もなく平穏に暮らしている人・・・
「運」というのは実に突発的で不可思議なものと思う。人も企業も生きるには
好運でありたいが運はままならないのが世の中というものと痛感するとともに
暖かいご飯を食べる幸せ、暖かい部屋にいる幸せ、暖かい風呂に入る幸せ、
そして生きている幸せ、何でもない暮らしの幸せを改めて思い知らされた。