隠居の独り言(925)

東電の原発事故に伴って福島県から他県へ避難する人達に対して根拠の無い
差別的な扱いをされている問題は日本人の思いやりの狭さを物語っている。
つくば市福島県からの転入者に放射線測定器を使った証明書を求めるとは
同じ日本人として情けない。そのほかにも福島ナンバーの車両ということで
飲食店の入店を断られた、福島県出身者に自宅待機を命じている専門学校や
関東の小学校で福島からの転校生に「放射能がうつる」といじめられたという。
なぜ、こうした差別や偏見が起きるのか?今回は根拠の無い非科学な不安で
過剰反応が独り歩きしたのだろうが、そもそも日本はこうした偏見や差別の
土壌があって、つい戦前までは謂れの無い部落民アイヌの人達に偏見を持ち
明治の日韓併合からも朝鮮出身の人達に様々な面で差別した歴史を持っている。
子供の頃、関西から東北へ疎開したとき言葉の違いや訛りのことでいじめを
受けた記憶もあるが地域の拒否反応は分かるにしてもこの震災とは次元が違う。
でもこれは日本人というより偏見や差別は人間の持つ醜い価値観であり人類が
この世に出現して以来の宿命的な欲望の罪悪だ。人種、宗教、地域、国家観の
考えの相違は人類史上を醜いものにした。白人はアメリカ大陸や南半球大陸で
原住民を抹殺し黒人を奴隷にして地球を制覇したし、宗教の名で多くの人々が
血で血を洗う戦いは現代にも続く。人類の歴史=戦争史の殆どが偏見と差別の
因が基の殺し合いで人々は栄枯盛衰を経て現代に至っている。人間の光と影を
大震災という国難にぶつかり改めて知った思いだが世界の国々が有難いことに
物心両面の支援を惜しみなく提供してくださった事と反面に風評被害で日本が
こと更に原発被害の実態が正確でなく腫物扱いにされている現状はとても辛い。
原発事故で自衛隊、警察、消防、東電の現場で働く人々は戦後の日教組教育が
教えなかった命を懸けて他者を守る最高の姿勢が何よりの救いだ。そんな時に
自衛隊が大嫌いな人物を要職につけている総理のKYさ!いいかげんにしろ!
確かに情報不足や誇張の風評もあるが、せめて日本人同士が信頼しあうことが
復興期の精神となる。「がんばろう日本」が泣いている。