隠居の独り言(929)

イギリスのウイリアム王子の結婚式の一部始終をTVで見て英国王室の荘厳と
華麗に圧倒されたが、王室というのは遠い昔の支配者時代も今は憶測のもので
現代王室の存在というのは政治にはタッチせず神聖なシャーマニズムのようで
神から委託された特別なものにみえる。だから人々から妬まれず敬われてきた。
日本でも皇室は歴史上の権力者からも侵害されなかったし、戦国時代や幕末の
混乱期にも強盗や野盗が横行し大名屋敷や富裕層の家は常に脅かされていたが
塀一重の京都御所は一度も侵入されたことは無かったという。奇蹟というより
どんな悪党でも意識の中に目に見えぬ神聖さを貴ぶ心を持っていたからだろう。
ただし王室が政治に口を挟むようになると必然的に敵が出来て滅ぶ運命が待つ。
歴史的にも古今東西の王族が栄枯盛衰を繰り返したのは権力を集中したからで
政治上の君主より宗教的な儀礼や慣習のみの君臨であれば人々の尊敬を受ける。
つまり英国も日本も皇室は「君臨すれども統治せず」で統治権は和議を通じて
国民が行使し国の三権分立が機能していれば国家体制は未来永劫に続くだろう。
その昔にフランスやロシアは王室が全権力を握っていたので国民は政治に対し
全面否定の形で革命があって制度が破壊されてしまった。フランスとロシアは
それぞれ違った道を歩んだが、流血革命で苦労して作った民主主義も本質的な
欠点は力とスピードに乏しい事で、だから大統領制を作り強大な権限を与えた。
共和制国家の大統領は一世だけのものだが皇室は一朝一夕に出来るものでない。
一国の大統領に皇室と同様に最上の儀礼を尽して敬意を払っても心のどこかに
尊意尊敬がひっかかるのは、やはり持てる血統というものだろう。皇室論議
つまるところ一君万民思想だが統一国家に象徴があり尊敬を戴く喜びを持てる
王国に生まれたイギリス国民に祝福し、同じ君主国である日本の幸せを感じた。