隠居の独り言(941)

9.11事件の首謀者と目されたビンラーディンがアメリカ軍によって射殺された。
今回は政治的な話しでなく映像でのビンラーディンの髭に実に見惚れてしまう。
彼は中々のハンサムだしその容貌からしてカリスマの要素は多分にあると思う。
ともかく人種的なものなのかアラブの男達は髭の多い人が実に多い。日本人も
昔の肖像画を見ると聖徳太子から明治の政治家先生まで髭を生やしている人が
多いが大抵はチョビ髭程度で豊かさに欠けるのはアジア系の顔立ちなのだろう。
でも髭というのは考えれば実に不思議なもので同じ霊長類でありながらサルは
全身が毛むくじゃらのくせに顔に髭が無く彼らの顔面は大抵ツルリとしている。
我々ホモ・サピエンスつまり現生人類も太古の昔はサルに似ていたのに何故に
人類は毛が少ないのか?更に男だけに髭が生えるのか?見慣れているので今更
原因を追究する人も多分いないし進化論を教える先生方も説明できないだろう。
でもこれが進化の妙というものなのか。髭の進化論はさておき昔の床屋さんは
日本は髪結いでチョンマゲ期は月代で頭も顔も剃ったがあくまで毛髪が主役だ。
西洋ではバーバーその語源を調べると英語で(barb)スペイン語で(barba)つまり
髭のことで散髪屋と違い髭剃り屋になる。東西の髭事情も床屋の名称で微妙に
変わっているのも面白い。でも危険な刃物で人体をいじる仕事なので髭剃りは
本業でも昔は簡単なオデキや怪我の切開手術もやっていたらしい。フランスの
外科医が区別を付けないとまずいというので国旗のトリコロールをデザインし
(赤=動脈、青=静脈、白=包帯)を医者マークにしようとしたが賛意が無く
それではと理髪店が世界共通の三色ねじり棒の看板になった。それはともかく
自分が常連にしていた床屋が先月で廃業してしまった。高齢で目が弱くなって
カミソリで人さまの顔を剃る自信が無くなったという。常連客として淋しいが
身に沁みて感じる。歳を取ると生えなくてもいい髭が濃くなり、生えて欲しい
頭の上では砂漠化が進む。ホモ・サピエンスの進化も上手くいかない。