隠居の独り言(990)

今年も「体育の日」があったが今の若い人は50年前の10月10日に開会式が
行われた東京オリンピックの記念日と知る人は少ない。戦後の20年が経って
五輪を機に日本の社会が根底から変わったとも云われている。東京・大阪間に
新幹線が走ったのも、東京に初めて高速道路が開通したのも、街々の雰囲気は
道路が拡張し車が増えたのも、家で五輪を観るためTVが急速に普及したのも、
オリンピック景気に沸いた世相だったが反面に映画館や銭湯が急速に減少した。
江戸日本橋は高速道路で空を覆われ東京の建物も高さ制限があってデパート等
7階に制限されていたが五輪を機に制限解除され各所に摩天楼が現れる。
生活は日々豊かになっていったがモッタイナイの日本人の美徳が失われたのは
華やかな祭典がもたらした罪かも知れない。それはともかく10日の開会式を
記念して制定された「体育の日」ならどうして10月第2月曜日にしたのか?
これでは東京オリンピック記念の意味が無いし祝日法にも「スポーツに親しみ
健康な心身を培う」とあるだけで五輪の思い出はどこにもない。人生の中にも
節目や記念日があるように国の節目や記念日もきちんと記憶を持ちたいと思う。
秋の祝日の体育の日は「東京五輪の日」で文化の日は「明治天皇誕生の日」で
勤労感謝の日は「新嘗祭」という歴史の由来を伝えるのが伝統の意味と思う。
そもそも休日が多すぎる。日本人は勤勉さゆえに有給休暇を取りたがらない、
がから法的な休日を増やして一斉に休もうといった役人の言い分のようだが
本末転倒だ。今回も土曜日も含めた3連休だったが却って身体の調子が狂う。
休日の多少と経済の関係は一概に言えないが今の日本の状況は休みより仕事が
欲しい人が多い。なかでも有給休暇を貰える人は幸せだ。休日も関係が無く
底辺で働く多くの不定期雇用の人たちを政治家は考えているのだろうか。