隠居の独り言(1004)

あの大東亜戦争というバカげた戦争をしてしまった遠因というのは多々あっても
陸海軍の責任者が誰も勝てる見込みが無いと分かっていながら何故突入したのか?
その謎は今も分らない。戦争直前の御前会議で東条英機が今までの経緯を説明し
戦争やむなしの意見だったが反対の者も無く僅か2時間で開戦が決定したという。
その時だれかが「勝つ見込み無い」と言えば踏みとどまるのが出来たはずなのに
出席した人たちが組織の立場で責任を取るのを恐れ口に出すことができなかった。
東条英機でさえ獄中で書いた回顧録で会議の出席者の優柔不断さを悔やんでいる。
傑出した独裁者がいたわけでもなく決定的な事態があったわけでもなく、そして
どういう形で戦争を終わらせるグランドデザインも無く責任者は無為無策だった。
誰も責任を取ろうとしない。でもそれは日本人の国民性からきているのだろうか?
昭和に入って関東軍の暴走、ノモンハン事件の敗戦、中国大陸の軍部の失敗など
数々の不祥事や失敗にも殆どが処分を受けることなく逆に出世させた体質だった。
反面に兵卒には責任を求め「生きて虜囚の辱めを受けず死して汚名を残さず」と
戦陣訓で玉砕や自決を強要したのも将校は卑怯そのものだ。戦争末期の満州でも
関東軍の上層部は飛行機で日本に逃れ、残った多くの兵はシベリアに抑留された。
あえて言えば国民だって責任を回避した。日露戦争、一次世界大戦で日本が勝ち
世界の一等国にした立役者は軍部ともてはやした。責任を取らないのが日本人の
体質となるとあまりにも悲しいが、敗戦の教訓を今ほど痛切に感じることはない。
最近の沖縄での防衛局長の暴言から発して一川防衛大臣は責任を取るべきなのに
その気もないし大臣の任命責任野田総理も更迭の予定が無いというには呆れる。
そもそも民主党の総理だった鳩山元首相が「基地は県外に」と県民に気を持たせ
後を継いだ管前首相も沖縄には冷たく誰もが無責任で時だけが無為に流れていく。
無責任民主党が日米関係を悪化させ、ほくそ笑んでいる中国、ロシア、北朝鮮
国民は気付かないのだろうか?責任論から逃れる国民性は今も昔も変わらない。