隠居の独り言(1017)

平家物語」は平安時代末期に武士階級の源氏と平家の二度に亘る戦いで平家が
勝利をおさめ平清盛をリーダーとし平家一門が今までの貴族政権に取って代わり
権力を独り占めにして栄華を極め、その勢いは「平家にあらずば人にあらず」と
称するほどに驕り高ぶったが、清盛(松山ケンイチ)は最高位の太政大臣にまで
上り詰め娘を天皇に入内させ、次の安徳天皇の母になるほどの位人臣を極めるが
清盛の傲慢は留まるを知らず、それまで平家に逆らった貴族達を流罪や死刑にし
更に後白河院を幽閉し、都を強引に福原(今の神戸)に遷し、東大寺興福寺
炎上させるなど悪行をエスカレートさせていく。学校で学んだ清盛のイメージは
道鏡足利尊氏と並び朝廷をないがしろにした日本史の三悪人の一人とされたが
実際と評価はそんな単純なものでないだろう。今回は大河の主人公だから清盛の
正当性と人間味を語るドラマのはずで描いてきたイメージとの違いをぜひ見たい。
清盛の手腕によって平家の絶大な興隆があっても、それは清盛一代のものであり
彼の死によって平家は没落していく。その悲劇の人間模様を「平家物語」は語る。
ドラマ3回目は清盛が瀬戸内海で自称警護役として海賊と戦い取り返した食物を
盗まれた漁民に返すという無頼の日々を送っていた。でも賊と間違われた清盛は
捕らえられ京に連れ戻される。再会した父(中井貴一)は彼に北面の武士という
院の警護役を負わせようとするが清盛はそれを拒否。あくまで自分一人の面白き
人生を歩むといきまく。そんなある日のこと清盛をひとりの若武者が呼びとめる。
その男の名は源義朝玉木宏)。父の宿敵・為義(小日向文世)の嫡子で清盛の
終生のライバルとなる男であった。義朝は清盛に源氏と平氏のどちらが上なのか
競馬で勝負しろと吹っかける。この二人の争いが長きに亘る武士の棟梁の象徴の
源平の源になるとは今は知る由も無い。