隠居の独り言(1025)

先々週の日曜、両国で日本大相撲トーナメントを見た。トーナメントなので本来の
場所中の迫力が欠けるのは当然としても救われたのは横綱白鵬が「大技連発」で
他の力士を圧倒したのは素晴らしい。ところで国技館の天井段から見下ろしている
32枚ある優勝掲揚額は外国人力士ばかりで国技館というより国際スモウセンターで
国技というより五輪競技に申請したらいい。また相撲内容も昔と大きく違っている。
今年は昔の名横綱双葉山の生誕100年に当たるが彼は「待った」は絶対しなかった。
そして「はたき」や「張り手」の避けるような事はせず堂々と「がっぷり四つ」の
相撲を本分として通した。相撲は仕切る時間の中で力士は徐々に盛り上がる気迫を
最後に集中させてぶつかるのが本来の姿だが最近の相撲の大半は僅か数秒で終わる。
それは相手力士に対して最初から右か左に逃げて「はたき込み」を警戒するあまり
思いっきりの「ガチンコ相撲」が少ないからだ。観客の多くは「がっぷり四つ」の
力相撲を期待するが手に汗握るヒマなく終わってしまうなら相撲人気もおしまいだ。
勝負に固執するあまり最初から逃げたり飛んだりは相撲道に反するのではないか?
初場所大関把瑠都が優勝したが、あれだけの巨大な身体とパワーを持ちながら
12日目の大関稀勢の里戦は「はたき込み」で勝った。立ち合い正面から当たらず
横にそれるのを「変化」というらしいが、この変化をした把瑠都大関らしからぬ
内容で観客から「帰れ!コールの波」が出た。当たり前だ。観客を馬鹿にしている。
もし来場所、把瑠都が優勝しても横綱推薦は認められない。以前の蔵前国技館の頃
大相撲の黄金時代と言えるが何と言っても栃若時代に尽きるだろう。印象に残るは
栃錦のきれいといえない巨大なお尻と「土俵の鬼」と言われた若乃花との決勝戦
相撲ファンは緊張で汗を滲ませたものだ。栃若の力相撲は立行司が両者を鼓舞する
「ハッケヨイ」の甲高い声をバックに互いに譲らず栃錦の右からの上手出し投げに
若乃花の得意の上手投げで切り返す。そんな名勝負は過去の夢の中で終わるのか?
今の相撲は格闘技のようで「引き」「はたき」ばかりが目立つがこれは相撲でない。
「がっぷり四つ」を奨励するルールも必要だろう。