隠居の独り言(1028)

日本はいうまでもなく小さい島国で島の中だけで生きようとすればチマチマした
島国の自然と暮らさなければならなかった。海の向こうに大国があると知っても
交易は九州の大宰府で貴族たちのための中国の珍しい宝物を取集するだけだった。
その中で貴族に逆らい意のままにならない武装船が海賊として討伐の対象とされ
忠盛(中井貴一)清盛(松山ケンイチ)親子は海賊討伐を命じられたが、それは
彼らと主従関係を結ぶ事によって西国での勢力を広げていくチャンスに恵まれる。
それらの経験を積み重ねて清盛がやがて人生の志を託す事業を見出すことになる。
それは宋(中国)との直接貿易拡大に乗り出す事だった。今までの交易は奢侈な
贅沢品ばかりだったものを兵器や実用品等に手を広げ奢侈よりも兵を養うために
富みを養い武家の棟梁としての実力と地位を固めるための権力の道を選んでいた。
それがやがて源氏よりも遥かに大きい武力を持って数々の乱に活用され勝利した。
日本が海外との交易によって栄えることを初めて立証したのは日本史上で清盛を
置いてなく現代に至る日本の貿易立国の基礎を作った大人物を忘れはならない。
後世の鎌倉や江戸の幕府は政権の維持に固執するあまり国を閉じてしまったが
地政的にも海洋国家となるべきなのに清盛の訓を生かさなかったのは実に悔しい。
ドラマ「平清盛」の7回目は海賊を討伐した平氏一門だったが棟梁である忠盛が
念願の公卿にはなれなかった。しかし清盛は功績で従四位下の位を授けられるが
院へ挨拶に出向いた帰り道で、平盛国上川隆也)と清盛は一組の父子と出会う。
下級貴族高階基章(平田満)とその娘・明子(加藤あい)。基章は一目で清盛を
気に入り娘を妻としてくれないかと申し出るが、戸惑う明子は琵琶の弟子であり
友である時子(深田恭子)にこの結婚話について相談する。時子は明子にまるで
源氏物語のようなこの良縁が続くことは願ってもないことだ、と明子に進言する。
平氏と身分が違う自分が応えることはできないと気後れする明子だが、一本気で
清盛の不器用なアプローチに明子の心は次第に動いていく・