隠居の独り言(1067)

民主党小沢一郎の造反で分裂しそうになっている。自分にはどうでもいい事柄だが
社会保障と税の一体改革を巡る案は民主、自民、公明3党の修正合意で明日にも衆院
採決されそうだが波乱含みの国会は野次馬の見地から見れば面白い。小沢一郎の主張は
近い将来の選挙を睨んでの消費税反対だろうが先の選挙のマニフェストを書いたのは
小沢始め民主党の幹部ではなかったか。子供手当、高速道路無料化、ガソリン税撤廃、
年金一元化議員定数削減、等々、極め付きは国には莫大な埋蔵金があり無駄な予算を
削れば財政は大丈夫、消費税は次の衆院選まで上げません、との大見えを切ったのは
何処の誰だったのか?すべては嘘八百!できもしないマニフェストに国民は騙された。
ただし民主党造反の消費税反対には小沢的選挙戦略を差し引いても一理あると思う。
消費税UPの理由は社会保障の財源不足というが、十数年来のデフレ不況対策といい、
震災復興の費用といい、戦後最悪の不景気による財源不足が殆ど全ての部門にわたって
深刻になっているのに、増税に関して2010年までに消費税を10%に引き上げるという
メリットとデメリットはどうなのか?今の消費税を5%UPすれば10兆円程の税収増に
なるというのは算術的には一応正しい。でも増税すれば消費者の購買意欲は減少するし
企業の儲けが少なくなり必然的に社員の月給が減るだろう。企業の利益と社員の月給が
少なくなれば法人税所得税の税収減は必至で、消費税の増収と歳入の減収の収支の
バランスはどうか。国民も「増税の前に無駄を無くせ」と声高だが議員定数の削減や
公務員給与カットにしても10兆円には遠く及ばない。むろん無駄の荒療治も必要だ。
その昔、昭和大恐慌のとき、当時の高橋是清・大蔵大臣は増税どころか中低所得者への
減税や公共投資を積極的に進めてデフレ不況を退治した。先の2008年でのリーマン
ショックの時は、欧米諸国は思い切った金融緩和をしてGDPを伸ばしたのに日本は
緊縮財政を踏襲するだけだった。政治に言いたいのは消費税増税論議の是非も結構だが
同時に日銀が国債政府短期証券などを数10兆円規模で引き受けて震災地の東北を
中心に大々的な公共投資を実施して一気に景気を上げる絶好のチャンスではないか。
景気が上昇すればデフレは治まる。デフレが治まれば企業が儲かる。企業が儲かれば
社員の月給が増える。月給が増えれば物が売れる。一方日銀が紙幣を大量に発行すれば
円安になる。そんな単純な理屈を政治家は考えないのだろうか?それとも政治よりも
日銀の白川総裁のインフレ懸念の考えなのか。日本は大きな岐路に立たされている。