隠居の独り言(1080)

今年も八月に入ったが昔を思うのは自分が小僧だったころ商家の習慣として藪入りの
一月と八月に四日間ほどの休暇を頂いて実家へ帰省することができた。旦那は小僧が
帰省する時の衣服や小遣いを与え土産まで揃えて頂き小僧は喜んで帰省列車に乗った。
当時はボーナスと称するものはなく藪入りの時の小遣いが小僧の唯一臨時収入だった。
臨時収入は故郷で弟や妹にお年玉や菓子を買って兄貴としてのプライドを示していた。
自分が会社を辞めた頃からボーナスの制度が一般化したので貰った経験は一度も無い。
あれからウン十年、貰う側より支給する側になったので恩恵に与る人達が羨ましいが
働いてこのかたボーナスには無縁で僻みではないがいったいボーナスとは何なのか?
広辞苑を引くとボーナスとは賞与の報酬とされるが賞与というなら働いた褒美であり
褒美に値する仕事をした人だけに与えられるのが本来のボーナスの意味と解すべきだ。
そもそも外国のボーナスは利益が出た時だけの限定の賞与金であり会社の業績次第で
利益が出なければ賞与が無いのが当然だろう。日本では赤字でも出すのはどうしてか?
僻みついでに言いたいのは政治家や公務員にボーナスを支給することに疑問を感じる。
日本の国家財政は赤字国債を乱発し破綻寸前まで緊迫しているのに政治家も公務員も
ボーナスを貰うのが当然の権利の態度で期末になると事前に予算に組み込んで高額の
賞与を受け取る。しかも税金を払っている国民の批判の声が無いはどうしてだろう?
今の世間はデフレのため収入も減ってボーナスどころか失業者のいかに多いことか!
政治家や公務員は生産・利益を求める会社等と違って公僕の意味を忘れたのだろうか。
民間会社で大きな赤字を出した場合、会社の方向転換は言うまでもないが支出の面で
まず固定支払いの人件費を削ることから始める。減給やリストラは必至の情勢だろう。
おまけに国家財政が赤字とか社会保障のためとかの理由で消費税を10%にするという。
政治家の自らを律せず赤字国債の責任も問わず将来にツケを回すのは国民への騙しだ。
最近立ち上げた新党はしゃあしゃあと「国民の生活が第一」の党名とは何とも空々しい。
わが社の今年も景気が今一で従業員にボーナスを満足に支給することが出来なかった。
もう、かつての景気は戻らないだろう。繊維製品の多くが労働力の安価な東南アジアに
進出していくのは時代の趨勢だがやがて日本の技術立国の看板も幕を下ろす日がくる。
借金まみれの国家の公務員になにがボーナスか!日本の斜陽は加速度を増している。