隠居の独り言(1138)

先日101歳で天寿を全うされた柴田トヨさんが御年98歳のときに発表された詩集の
「くじけないで」は150万部のベストセラーになって外国でも翻訳されて人気という。
ご立派以外の言葉が見つからないが歳のせいにして弱音を吐く老人には素敵な刺激だ。
そして第148回の芥川賞に御年75歳の黒田夏子さんが輝いた。史上最年長受賞とある。
芥川受賞者の川端康成菊池寛谷崎潤一郎丹羽文雄舟橋聖一遠藤周作などの
錚々たる文豪の一人に黒田さんが連なる。未読だが受賞作「abさんご」は日常家庭の
営みを綴ったものでインタビューには「私を見つけてくれてありがとう〜書くことを
諦めないで良かった」継続は力、諦めていけない、好きなことを貫いたのが素晴らしい。
スポーツの世界では広島在住の長岡三重子さんという方が83歳で水泳を始められて
昨年には98歳で1500m自由形で54分09秒の世界新記録を遂げられたというから
言葉無し!高齢者で1時間近くを連続して泳ぐだけでも驚きなのに何を言わんかな!
日本では75歳になると後期高齢者というが、それは能無し役人が決めた言葉であり
老人力を馬鹿にしている。柴田さん、黒田さん、長岡さんたちの快挙に、ご年配方も
まだまだやれる覇気を頂き、あらゆる分野に活躍するご同輩連に「人生に引退なし」の
希望と勇気を与えてくれた。元気で長生きの妙薬は「生を楽しむこと」これに尽きる。
一方で、歌舞伎を代表する中村勘三郎さんの訃報(享年57歳)があったばかりなのに
続いて市川団十郎さんの66歳の早過ぎる急逝は歌舞伎界の衝撃の大きさは計り知れない。
才能、健康、寿命は神の領域だが、それにしても努力した人に神は裁量を考えて貰いたい。
不肖、自分も年齢的にはそれなりだが、ラテン音楽の仲間と共に楽しみを持っている。
歌うのは肺の機能を働かせ、楽器を弾くのは神経細胞を刺激し、歌詞を暗記することは
脳の活性に最高だ。それに練習場所やライブに楽器とアンプを運ぶ体力も必要となる。
趣味は健康づくりと楽しみの一石二鳥と思う。尊敬する御三方も好きな、ご趣味だから
達成できた勲章だろう。でも誰も理想あっても成し得るものでない。年齢を重ねれば
何をすれば健康によく、何をすれば体を害するのは百も承知の助だ。命の限り、頑張るぞ〜!